寄藤好実

寄藤好実（よりふじ よしざね）

寄藤好実（1863年5月1日 - 1928年5月21日）は、日本の教育者であり、その生涯を通じて日本の教育の発展に尽力しました。幼名は銀吉、号は紫軒です。

生い立ちと教育

1863年、信濃国松本城下（現在の長野県松本市）で、松本藩士の寄藤武八郎義弘の長男として生まれました。幼少期は藩校の崇教館で学びましたが、廃藩置県により一家は困窮し、安曇郡東穂高村（現在の安曇野市）に移住しました。その後、高橋白山の矢原研成学校で学び、苦学の末、1883年に長野県師範学校を卒業しました。

教育者としてのキャリア

師範学校卒業後、南安曇郡穂高尋常小学校の訓導として教鞭を執り始めました。その後、東筑摩郡の小学督業、堀之内尋常小学校の校長を経て、1889年に松本尋常小学校（後の旧開智学校）の校長兼訓導に就任しました。1892年には同高等小学校の校長兼訓導となり、その手腕を発揮しました。

松本尋常小学校では、校内講習を通じて技能教科を刷新し、児童組合を設立して校外指導にも力を入れました。また、校訓、校歌、校章、校旗を制定し、児童の訓育を徹底しました。さらに、1891年には社会教育のため、開智書籍館（松本市図書館の前身）を創立しました。

教育団体での活動と晩年

1887年には東筑摩教育交詢会の首脳となり、沢柳政太郎の教育学、桑木厳翼の倫理学、坪井正五郎の人類学などの講習会を開催しました。1900年には松本人類学会の発起人の一人にもなりました。1901年には松本高等女学校の設立に尽力し、同校の教諭などを務めました。

その後、文部省普通学務局に入庁し、第1課長を務めました。その傍ら、日本大学高等師範科に夜間通学して卒業しました。1908年には徳島県女子師範学校と徳島高等女学校の校長を兼任し、その後、満州に渡り、関東都督府高等女学校や大連高等女学校の校長を歴任しました。関東庁の命により、教科書編纂や満州社会事業研究会の評議員も務めました。

1924年に退職し、1928年には全国高等女学校長協会主事嘱託となりましたが、同年、東京府下の自宅で逝去しました。

功績と著書

寄藤好実は、教育者として多くの学校で校長を務め、教育内容の改善や児童の育成に尽力しました。また、教育団体の設立や社会教育にも積極的に関わり、日本の教育発展に大きく貢献しました。著書には、「初学国語仮名遣読本」（1895年）があります。

勲章

1917年 - 正六位
1923年 - 勲四等瑞宝章

参考文献

「教育功労者列伝」信濃教育会、1935年
「20世紀日本人名事典」日外アソシエーツ、2004年
杉山博久『「瓦礫」を追った人びと 黎明期考古学界の先達たち』雄山閣、2022年

関連項目

三村壽八郎

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