富士見塚古墳群

富士見塚古墳群：古代の息吹を感じる場所

茨城県かすみがうら市柏崎に位置する富士見塚古墳群は、古代のロマンを今に伝える貴重な史跡です。霞ヶ浦と菱木川に挟まれた台地上に、前方後円墳1基と円墳4基が点在し、その歴史的価値から茨城県指定史跡に指定されています。また、出土した遺物は茨城県指定有形文化財として、大切に保存されています。

古墳群の構成と特徴

富士見塚古墳群は、全部で5基の古墳から構成されています。中でもひときわ目を引くのは、1号墳です。市内最大規模を誇る前方後円墳であり、その墳丘長は80.2メートルにも及びます。墳丘からは、円筒埴輪や形象埴輪（家形、人物形、動物形など）が多数出土しており、当時の社会や文化を知る上で貴重な資料となっています。また、墳丘の周囲には盾形の周濠が巡らされ、古墳の威厳を高めています。

2号墳は、1号墳の南東に位置する円墳で、直径は約15メートルです。1号墳と同時期の築造と考えられており、金銅製の鋏具が出土しています。3号墳も2号墳の南東に位置する円墳で、直径約18メートル。墳頂からは箱式石棺が見つかり、内部からは人骨や刀子、ガラス製小玉などが出土しています。

発掘調査と史跡公園としての整備

富士見塚古墳群は、過去に数次の発掘調査が行われています。これらの調査によって、古墳の構造や築造時期、出土品などが明らかになり、古墳群の歴史的意義がより深く理解されるようになりました。1992年には史跡公園として復元・整備され、現在では「富士見塚古墳公園」として一般公開されています。公園内には展示館も併設されており、出土品などを鑑賞することができます。

各古墳の詳細

1号墳（前方後円墳）

富士見塚古墳群の主墳である1号墳は、前方後円墳で、墳丘長は80.2メートル。後円部の直径は38.4メートル、高さは8.5メートル。前方部の幅は推定復元で49.4メートル、高さは9メートルを測ります。墳丘からは多種多様な埴輪が出土しており、当時の祭祀や信仰を知る手がかりとなっています。埋葬施設は、後円部墳頂の木棺と前方部墳頂の石棺で、内部からは装身具、鉄鏃、直刀、馬具などが出土しています。築造時期は、古墳時代中期-後期の5世紀末葉-6世紀初頭頃と推定されています。

2号墳（円墳）

1号墳の南東に位置する2号墳は、直径約15メートルの円墳です。墳丘の周囲には周濠が巡らされています。埋葬施設は不明ですが、副葬品として金銅製鋏具が出土しています。築造時期は、1号墳と同時期の5世紀末葉-6世紀初頭頃と考えられています。

3号墳（円墳）

2号墳の南東に位置する3号墳は、直径約18メートルの円墳です。墳丘の周囲には周濠が巡らされ、墳頂には箱式石棺があります。石棺内からは人骨や刀子、ガラス製小玉などが出土しています。築造時期は、1・2号墳から約1世紀下る古墳時代後期の6世紀末葉頃と推定されています。

文化財としての価値

富士見塚古墳群から出土した遺物は、2008年に茨城県指定有形文化財に指定されました。また、古墳群自体も茨城県指定史跡に指定されており、その歴史的価値が認められています。

まとめ

富士見塚古墳群は、古代の息吹を感じることができる貴重な史跡です。古墳の形状や出土品からは、当時の社会や文化、人々の生活を知ることができます。史跡公園として整備されているため、気軽に訪れることができ、歴史好きにはたまらないスポットです。かすみがうら市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

参考文献

史跡説明板（かすみがうら市教育委員会設置）
千葉隆司「富士見塚古墳」『続 日本古墳大辞典』東京堂出版、2002年。ISBN 4490105991。

もう一度検索