富岡盛彦

富岡盛彦（1892年1月3日 - 1974年9月9日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の神職です。富岡八幡宮の第18代宮司を務めたほか、神社本庁の事務総長、右派団体である日本を守る会の代表委員を歴任しました。

福岡県築上郡八津田村（現・築上町）に生まれた富岡は、旧小倉藩士の家系で、村長を務めた澤渡敬吉の二男でした。福岡県立中学校を経て皇典講究所に入り、國學院大學高等師範科国語科を卒業。その後、京都予修学校教諭、住吉神社の禰宜などを経て、鶴岡八幡宮の主典、砥鹿神社宮司を歴任しました。

転機となったのは、神道家の川面凡児の推薦で富岡八幡宮宮司の富岡宣永の娘婿となったことです。その後、札幌神社（現・北海道神宮）や鹿島神宮の宮司を歴任し、戦後は神社本庁と茨城県神社庁の設立に奔走しました。

1949年、義父の死去に伴い富岡八幡宮の宮司に就任。1959年から1962年まで神社本庁事務総長を務め、神道復興に尽力しました。國學院大学理事長にも就任し、氏神、産土神の研究で博士号を取得しています。

富岡は、保守系の宗教団体を結集し、愛国運動を起こすという構想を抱いていました。1974年には、「日本を守る会」の設立に参画し、代表委員に名を連ねました。この団体の結成は、保守系宗教団体運動の合同化の先駆けとされています。

1974年9月9日、82歳で死去。墓所は多磨霊園にあります。富岡家は、富岡八幡宮の宮司を代々務めており、子や孫の代にもその影響は及んでいます。しかし、近年では後継者争いによる殺傷事件が発生するなど、波瀾万丈な歴史を辿っています。

富岡盛彦は、戦後の神道界において、その復興と保守運動に大きな足跡を残しました。彼の思想と活動は、現代の日本の宗教と政治のあり方を考える上で、重要な意味を持っています。

参考文献

塚田穂高『宗教と政治の転轍点―保守合同と政教一致の宗教社会学』花伝社、2015年。ISBN 978-4-7634-0731-3。
藤生明『徹底検証 神社本庁 ―その起源から内紛、保守運動まで』筑摩書房〈ちくま新書〉、2018年10月4日。ISBN 978-4480071767。

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