富沢幹雄

富沢幹雄：将棋界に名を刻んだ研究者と棋士

富沢幹雄（とみざわ みきお、旧姓：富沢伝助）は、1920年4月20日福島県生まれ、1998年1月10日没の将棋棋士である。山本樟郎八段門下で、棋士番号は34番。

アマチュア時代は東北代表として名人戦に出場するなど活躍し、1943年にプロ入りを果たす。その後、順位戦という厳しい戦いを経て、1949年度の第4期順位戦C級甲組で5勝3敗の好成績を残し、東の9名中2位という結果でB級への昇級を果たした。これは彼にとって棋士人生における唯一の昇級であった。

1951年7月からは病気により休場。この間に、名前を伝助から幹雄へと改名した。休場は長期に及び、復帰は1958年までずれ込んだ。しかし復帰後も30年以上現役を続け、1992年2月以降は不戦敗が続き、1992年度と1993年度は休場。そして1994年3月に引退した。肺炎のため77歳で生涯を閉じた。

研究者としての側面

富沢は、山田道美、関根茂、宮坂幸雄らと共に研究会を結成し、将棋界における研究会設立のパイオニアの一人として称えられている。古棋書や御城将棋の棋譜に造詣が深く、日本将棋連盟の古棋書復刻事業では編纂相談委員として尽力した。その深い知識と経験は、後進の育成にも大きく貢献したと言えるだろう。

ユニークな棋風

棋風は居飛車党で、矢倉、角換わり、相掛かりを好んで指し、時には中飛車も用いた。特に、対振り飛車では「富沢キック」と呼ばれる独特なポンポン桂戦法で知られ、後世に影響を与えた。また、後に「ゴキゲン中飛車」と呼ばれる戦法を最初に指した棋士とも言われている。

彼の棋風を特徴づけるのは、中盤以降、駒損を厭わない積極的な攻めである。時には▲1六歩と突いてから後手番の相掛かりのような独特の指し方を披露するなど、柔軟で創意工夫に富んだ将棋を指した。

昇段履歴と主な成績

1935年：入門
1943年4月1日：四段（プロ入り）
1944年4月1日：五段
1947年5月10日：六段（順位戦C級での成績）
1950年4月1日：七段（順位戦B級昇級）
1976年4月20日：八段（贈八段、将棋会館落成式表彰）
* 1994年4月1日：引退

主な成績や年度別成績、そして囲碁将棋チャンネルでの解説番組出演などの情報は、残念ながら詳細な記録が限られているため、ここでは省略させていただきます。しかし、これらの活動も彼の棋士としてのキャリアを彩る重要な要素であったことは間違いありません。

まとめ

富沢幹雄は、棋士としてだけでなく、研究者としても将棋界に大きな足跡を残した。彼の功績は、棋譜や戦法の研究だけでなく、後進の育成や古棋書保存にも及ぶ。独特の棋風と研究心は、現代の将棋界にも多大な影響を与え続けていると言えるだろう。彼の名は、将棋史に長く記憶されるに相違ない。

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