寧海 (巡洋艦)

寧海 (巡洋艦)

寧海（ニンハイ、NING HAI）は、中華民国海軍の寧海級巡洋艦の1番艦として建造されました。その後、日本海軍に捕獲され、海防艦「五百島（いほしま/いおしま）」として運用された艦です。

艦歴

寧海

第一次世界大戦後の海軍軍縮時代、中華民国海軍が保有する艦艇は旧式艦ばかりでした。そこで蒋介石総統は海軍の近代化を企図し、日本に小型巡洋艦（寧海級巡洋艦）を発注しました。

寧海は神戸の播磨造船所相生工場で1931年（昭和6年）2月20日に起工されました。満州事変が勃発し日中関係が悪化する中、同年10月10日に進水。1932年（昭和7年）1月から3月にかけて第一次上海事変が発生しましたが、建造は継続されました。同年7月31日に竣工し、中華民国への引き渡しが危ぶまれましたが、同年9月1日に中国軍に編入され、第一艦隊を編成しました。

1934年（昭和9年）6月5日、寧海は練習艦隊に編入されました。その前月には日本海軍の東郷平八郎元帥が死去し、6月5日に国葬が執り行われることになり、列強各国はアジア方面に配置していた巡洋艦と艦隊司令官を日本に派遣しました。イギリスは重巡サフォーク、アメリカ合衆国は重巡オーガスタ、フランスは軽巡プリモゲ、イタリア王国は巡洋艦クアルト、オランダは軽巡ジャワを派遣。中華民国が派遣したのが寧海でした。しかし、6月5日に東京湾で実施予定の式典に間に合わないことが判明したため、6月3日夜に下関に寄港し、儀仗隊を列車で東京へ向かわせ弔意を示しました。寧海の横浜港到着は6月6日となりました。

日中戦争中の1937年（昭和12年）9月20日、支那方面艦隊司令長官の長谷川清中将は、揚子江に停泊し南京攻略戦において脅威となっていた中国海軍の巡洋艦2隻（寧海、平海）および所在艦艇に対する航空攻撃を命令しました（江陰海戦）。9月21日の攻撃予定は悪天候のため中止。9月22日と9月23日にかけて、空母加賀などの航空隊による波状攻撃が実施され、鎮江上流の揚子江沿岸に所在していた寧海、平海、應瑞、逸仙などは戦闘能力を喪失。寧海は60kg爆弾4発、水中有効弾5発を受け炎上、擱座しました。

同年12月4日、第24駆逐隊などと共に南京を目指して揚子江を遡上中の砲艦保津は、内火艇を派遣して擱座した寧海を調査し、捕獲を宣言しました。この時、付近の中華民国軍は陸上陣地から機銃射撃を行い、保津の乗組員に負傷者が出ました。保津は封鎖線を突破して寧海に接近、保津の乗組員を収容して錨地に戻りました。

1938年、播磨造船所によって寧海は浮揚され、機関整備の後、相生へ回航、6月10日に相生湾に到着しました。7月11日には御蔵と仮称されました。寧海は相生で待機することになりました。

五百島

太平洋戦争勃発後、1943年（昭和18年）より対空護衛艦兼航空基地移動設営艦に改造されることになり、寧海は播磨造船所で、平海は呉海軍工廠で工事を実施しました。1944年（昭和19年）6月1日、寧海は「五百島（いほしま）」と改名され、日本海軍に編入、海防艦に類別されました。五百島は呉鎮守府籍となりました。

小笠原諸島方面への輸送任務に従事していましたが、同年9月19日、御前崎南方でアメリカの潜水艦シャードの雷撃を受け沈没しました。9月25日には二等巡洋艦に種別、類別変更される予定でしたが、その前に沈没したことになります。

同年11月10日、五百島は役務を解かれ、除籍されました。

歴代艦長

艤装員長

福地秋二 少佐：1944年6月1日 - 1944年6月28日

海防艦長

福地秋二 少佐：1944年6月28日 - 1944年9月19日 戦死認定、同日付 任海軍中佐

同型艦

* 平海

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