寧海級巡洋艦

寧海級巡洋艦

寧海級巡洋艦は、1930年代に中華民国海軍向けに建造された巡洋艦の艦級です。日本と中国の造船所が協力して建造にあたりました。一番艦の寧海は日本の播磨造船所で、二番艦の平海は中国の江南造船廠で建造されました。

概要

当時の中国海軍は、主に長江や沿岸部での警備活動を重視していました。寧海級は、基準排水量2,200トンという比較的小型の船体に、有力な備砲と魚雷を搭載していました。寧海は水上機を搭載するなど、大型砲艦や小型海防戦艦としての性格が強い艦でした。

寧海と平海の間には、艦型に若干の差異が見られました。特に、方位盤支基や前檣の形状、高角砲の数と配置、水上機の搭載の有無などが異なっています。

艦形

船体は、艦首に弱いシアを持つ船首楼型でした。艦橋のデザインや集合煙突は、同世代の日本の古鷹型重巡洋艦との類似性が見られました。船体の規模に対して上部構造物が大きく、日本海軍に鹵獲・編入された後は、改装時に重心降下対策が施されました。

武装

主砲は、三年式14cm砲を連装砲塔形式で3基6門搭載していました。配置は、前部に1基、後部に背負式に2基でした。高角砲は、寧海が三年式八糎単装高角砲を6門搭載したのに対し、平海はドイツ製の8.8cm単装高角砲を3門搭載していました。魚雷発射管は、53.3cm連装発射管を2基装備していました。

機関

機関は、中国の燃料事情を考慮して石炭専焼とし、艦本式水管缶と三段膨張式レシプロ機関を組み合わせていました。寧海は缶4基とレシプロ機関3基、平海は缶5基とレシプロ機関3基を搭載し、3軸推進でそれぞれ最大出力9,500馬力、7,448馬力を発揮しました。速力はそれぞれ22ノット、21ノットでした。

石炭専焼ボイラーを使用していたため、航行時には濛々たる煤煙を上げていた様子が、当時の写真記録から確認できます。

建造とその後

一番艦の寧海は、石川島播磨造船所にて1931年2月21日に起工、同年10月10日に進水、1932年7月31日に竣工しました。その後、中国海軍に編入され、第一艦隊を編成しました。

二番艦の平海は、中国上海の江南造船廠で1931年6月18日に起工、1933年10月10日に進水、1936年6月18日に竣工しました。

日中戦争勃発後の1937年9月23日、両艦は日本海軍の航空部隊による爆撃を受け、長江で大破擱座しました。その後、日本軍に鹵獲され、1938年に浮揚後、佐世保に回航されました。寧海は播磨造船所相生工場で、平海は呉海軍工廠で改装を受けました。

1944年6月、寧海は海防艦「五百島」、平海は海防艦「八十島」として日本海軍に編入されました。同年9月には、輸送戦隊旗艦用として二等巡洋艦への類別変更が計画されましたが、五百島は変更直前の9月19日にアメリカ潜水艦の雷撃で沈没しました。八十島はルソン島への輸送作戦中にアメリカ空母機動部隊の艦上機による攻撃を受け、重巡熊野と共に撃沈されました。

データ

全長: 106.7m
全幅: 11.9m
基準排水量: 寧海:2,526トン、平海:2,448トン
兵装:
五〇口径三年式14cm連装砲 3基
四〇口径三年式八糎（7.62cm）単装高角砲 寧海:6基、平海:8.8cm単装高角砲3基、57mm単装砲4基
ヴィッカーズ式 4cm（39口径）単装機関砲 寧海:8丁、平海:0丁
マキシム 8mm機銃 寧海:10丁、平海:8丁
53.3cm水上魚雷発射管連装 2基
機関: 三段膨張式レシプロ機関 寧海:3基3軸推進、平海:2基2軸推進
最大出力: 寧海:9,500hp、平海:7,448hp
最大速力: 寧海:22.0ノット、平海:21.0ノット
航続性能: 12ノット/5,000海里
装甲:
舷側装甲: 25mm
甲板装甲: 25mm
司令塔: 76mm
航空兵装: 寧海:水上機1機、平海:なし
* 乗員: 士官42名、下士官97名、兵222名

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