寧漢分裂

寧漢分裂について

寧漢分裂（ねいかんぶんれつ）は、1927年に中国で発生した国民党内部の対立を指します。これは、北伐を行っていた国民政府が共産党に対する立場の相違から分裂した事例です。特に南京と武漢の二つの政府が中心となり、両者の間で派閥の争いが激化することとなりました。

分裂の背景と経過

1926年7月、蔣介石が中山艦事件をきっかけに国民革命軍の総司令に就任し、北伐を開始しました。この北伐の目的は、国民政府の権力を強化し、国内の混乱を収束させることでした。9月には北伐軍が漢口を攻撃し、11月には南昌を攻略するなど、勢いを増していました。これにより、武漢政府は蔣介石率いる部隊が長江流域を掌握したため、武漢遷都を決定します。

しかし、蔣介石は自らの拠点南昌から移転することを主張し、政治的な対立が生じていました。1927年1月には南昌の中央政治会議が、党中央が南昌に留まることを決議します。こうした中、2月には武漢で中央執行委員会の会議が開かれ、汪兆銘や譚延闓らが政府の主要メンバーとして選ばれました。

4月1日、汪兆銘が蔣介石の招きに応じて帰国し、武漢政府が蔣に対抗する姿勢を強化したのですが、蔣介石は上海で緊急会議を招集し、共産党の活動を摘発する方針を決定します。これが「上海クーデター」と呼ばれる事件につながり、共産党員の逮捕や処刑が行われました。

寧漢の正式な分裂

1927年4月17日、南京で国民党中央執行委員と監察委員たちが集まり、国民政府を正式に組織しました。この際、胡漢民が主席として選ばれ、これが寧漢分裂の公式な始まりとされます。武漢政府は直ちに蔣介石を党籍から除名し、逮捕令を発出しましたが、南京政府も同様に約200名の共産党員の逮捕令を発令しました。

その後、両政府はしばらくの間、北伐を続行することで戦争を回避しましたが、共産党の動きが依然として緊張を引き起こしました。コミンテルンの方針変更により、共産党は新たな軍事組織の設立を目指すことになりましたが、国民党内の強硬派との対立を深めていきました。

共産党の衝突と衰退

6月半ばになると、馮玉祥が南京政府を支持する動きを見せ、その結果、国民党内部の共産党員への圧力が高まりました。7月、武漢政府は共産党機関の解散を発表し、南京への東征の準備を進めました。この動きに対して共産党は武漢政府との分離を宣言し、これを「七・一五反革命政変」と称しました。

8月1日、武漢政府の軍事主力が南昌で武装蜂起を行い、その結果、共産党員に対する逮捕令が再び出される事態となります。そして、8月19日には武漢政府が南京に遷都し、汪兆銘が南京に到着、最終的に寧漢の再合体が宣言されました。

このように、寧漢分裂は国民党内部の派閥抗争がもたらした重要な出来事であり、中国の政治的状況に深い影響を及ぼしました。今後、国民党と共産党の対立がさらなる混乱を招くことは避けられず、歴史の中で大きな分岐点となるものでした。

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