寺倉正三

寺倉 正三（てらくら しょうぞう）

寺倉 正三は、明治から昭和にかけて活動した日本の陸軍軍人です。1889年（明治22年）10月14日、岐阜県に農業を営む寺倉祐九郎の次男として生まれました。最終的な階級は陸軍中将です。

軍歴の始まりと昇進

地元の済々黌中学を中途退学した後、名古屋陸軍地方幼年学校で学び、軍人の道を志しました。1910年（明治43年）5月に陸軍士官学校（第22期）を卒業。同年12月には陸軍歩兵少尉に任官し、歩兵第59連隊に配属されました。軍人としての基礎を築きながら研鑽を積み、1919年（大正8年）11月には、陸軍大学校（第31期）を優等の成績で卒業しました。これは、当時の陸軍エリートとしての将来を嘱望される証でした。

要職の経験

陸軍大学校卒業後、寺倉は歩兵畑を中心に、多様な部署で経験を積んでいきます。1920年（大正9年）4月からは陸軍省軍務局に籍を置き、課員として勤務。この間、陸軍歩兵学校付としてドイツへの出張や、現地での駐在を経験し、国際情勢や最新の軍事知識に触れる機会を得ました。その後、歩兵第37連隊付などを務め、再び部隊勤務に戻っています。

1925年（大正14年）8月には歩兵少佐に進級し、歩兵第8連隊付となりました。陸軍省軍務局課員（軍事課）や参謀本部員を兼務するなど、陸軍の中枢での勤務も経験しています。歩兵第61連隊付や再び参謀本部員などを歴任し、着実に昇進を重ねました。1933年（昭和8年）8月には歩兵大佐となり、陸軍歩兵学校の研究部主事として、歩兵戦術や教育の分野で重要な役割を担いました。

転身と将官へ

1934年（昭和9年）4月には独立歩兵第1連隊長に就任し、部隊の指揮官として現場を経験。その後、陸軍省副官を務め、省内での調整役を担いました。1937年（昭和12年）8月には陸軍少将に進級。これを機に、寺倉のキャリアは歩兵から航空分野へと転換していきます。下志津陸軍飛行学校付となった後、1938年（昭和13年）3月には第1飛行団長に就任し、航空部隊の指揮を執りました。さらに陸軍航空士官学校長を務めるなど、陸軍航空の教育・育成にも貢献。1939年（昭和14年）10月には陸軍中将へと昇進しました。

太平洋戦争と終戦

太平洋戦争開戦後の1941年（昭和16年）10月、寺倉は留守第2師団長に就任しました。1943年（昭和18年）6月には第42師団長に親補され、仙台に駐屯。師団長として部隊の訓練・整備にあたりました。戦局が厳しさを増す中、1944年（昭和19年）3月には第27軍司令官に任命され、千島列島の防衛という重要な任務を任されました。極寒の地において、ソ連軍の侵攻に備える最前線の指揮を執りました。

終戦間際の1945年（昭和20年）2月、参謀本部付となり、3月には予備役に編入されました。しかし、終戦による混乱に対応するため、同年4月に召集され、東京師管区司令官に就任。首都の防衛や治安維持に責任を負いました。その後、東部軍司令部付を経て東京防衛軍司令官を歴任し、終戦後の混乱期における首都圏の安定化に尽力しました。同年10月に召集解除となり、軍人としての経歴を終えました。

戦後

軍を離れた後、1947年（昭和22年）11月28日には、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）による公職追放の仮指定を受けました。軍中央や要職を経験した将官として、戦後の新たな体制下で公職から一時的に排除された形です。

寺倉正三は、陸軍大学校を優等で卒業し、歩兵、軍務、参謀、そして航空と幅広い分野で要職を歴任しました。特に、ドイツでの経験や、陸軍航空分野での指揮・教育、そして太平洋戦争における師団長や千島での軍司令官、終戦期の東京防衛といった多様な任務を通じて、時代の変化と共に歩んだ軍人でした。

栄典

• - 1911年（明治44年）3月10日 - 正八位
• - 1914年（大正3年）2月10日 - 従七位
• - 1919年（大正8年）3月20日 - 正七位
• - 1924年（大正13年）5月15日 - 従六位
• - 1937年（昭和12年）9月1日 - 正五位

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