対戦車ヘリコプター隊

対戦車ヘリコプター隊について

対戦車ヘリコプター隊は、陸上自衛隊における航空科部隊の一環であり、主に対戦車ヘリコプターを駆使して敵陸上部隊、特に戦車に対応することを目的としています。2021年の時点で、陸上自衛隊には戦闘ヘリコプター隊と合わせて5個の対戦車ヘリコプター隊が編成されています。この隊は、機動力と攻撃力を兼ね備えた対戦車ミサイルを搭載した攻撃ヘリコプターにより、効果的な火力支援を行います。

歴史的背景

陸上自衛隊では1959年からヘリコプターの武装化を進める研究が行われてきました。その初期段階ではHU-1ヘリコプターにロケット弾発射機を搭載するための改修が実施され、1960年代には対戦車誘導弾の導入も試みられました。しかし、技術的な課題からこれらの計画は思うようには進みませんでした。

1980年代に入ると、より本格的な攻撃ヘリコプターとしてAH-1Sが導入され、1986年には第一対戦車ヘリコプター隊が新たに編成されました。その後の数年で、全五個隊が順次編成を完了しました。

現在の編成と使命

対戦車ヘリコプター隊は、隊本部に加えて、観測ヘリコプター（OH-1）を装備した隊本部付隊及び二つの飛行隊から構成されています。現在、各対戦車ヘリコプター隊はAH-1Sを装備していますが、近年の防衛政策の見直しにより、無人航空機への移行が計画されています。これに伴い、従来の有人ヘリコプターの運用は段階的に縮小される見込みです。

2021年3月には、第3対戦車ヘリコプター隊が第1戦闘ヘリコプター隊に名称変更されるなど、組織の再編も進んでいます。また、2022年には防衛力整備計画が閣議決定され、AH-64DやOH-1の廃止が決まり、無人航空機への移行が示されました。これにより、対戦車ヘリコプター隊は新たな形態の部隊へと進化することが期待されています。

部隊一覧

現行の対戦車ヘリコプター隊は以下の通りです。

• - 第1戦闘ヘリコプター隊（目達原駐屯地）：西部方面航空隊に所属、AH-64Dを6機運用
• - 第1対戦車ヘリコプター隊（帯広駐屯地）：北部方面航空隊に所属、AH-1Sを16機運用予定
• - 第2対戦車ヘリコプター隊（八戸駐屯地）：東北方面航空隊に所属、AH-1Sを8機運用
• - 第4対戦車ヘリコプター隊（木更津駐屯地）：東部方面航空隊に所属、AH-1Sを8機運用
• - 第5対戦車ヘリコプター隊（明野駐屯地）：中部方面航空隊に所属、AH-1Sを8機運用

まとめ

対戦車ヘリコプター隊は陸上自衛隊の重要な防衛機能の一端を担っており、敵地上部隊に対する強力な武器として機能しています。時代の変化に合わせてその運用形態は変わりつつありますが、その使命の重要性は今後も変わらないでしょう。新たな航空戦力として、無人機の導入が進む中でも、対戦車ヘリコプター隊は今後の安全保障において重要な役割を担い続けると期待されます。

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