対馬海流

対馬海流について

対馬海流（つしまかいりゅう、Tsushima Current）は、九州の西側沖から対馬海峡を経て日本海へ流れ込む暖流です。この海流は、主に黒潮と東シナ海からの水が混ざり合い、温かい水、塩分が高く、栄養塩分が少ない特性を持っています。一般に対馬暖流とも呼ばれています。

流路と特性

対馬海流は複数の流路を通じて日本海を北上します。一部の水は朝鮮半島の東岸を沿って北上する一方で、本流は日本の東北地方の西岸、特に山形・秋田沖を通ります。その後、多くは津軽海峡を通じて太平洋へ流出（津軽暖流とも称される）し、残りの部分は北海道沿岸を北上し宗谷海峡からオホーツク海へ向かう（宗谷暖流）ことになります。ごくわずかの流れは西樺太沖にも達しています。

津軽暖流は噴火湾付近や襟裳岬沖で流れが確認され、宗谷暖流は北海道のオホーツク海に沿って流れています。これらの流れは、東シナ海と太平洋の水位差によって起こります。対馬海流の厚さは、場所によって異なりますが、一般的に200メートル、深いところでは300メートルにも達するとされています。また、流速はおおよそ流軸付近で毎秒50センチ程度です。

対馬海流の影響

対馬海流は日本列島の気候に大きな影響を与えています。特に日本海側では、同じ国内でも地域ごとに気温が異なり、道東や東北地方の太平洋側に比べて高い傾向があります。例えば、山口県では萩市沖の見島が年間平均気温が最も高いことからも、この影響が明確に確認できます。

冬季の日本海側は日照時間が短く、雪や雨の日が多くなります。特に福井県嶺北地方や石川県、富山県、新潟県、山形県、秋田県、青森県の津軽地方は、日本海の気候特性から世界有数の豪雪地帯となっています。このシベリア高気圧によって北西季節風が発生し、それが暖かい対馬海流から水蒸気を多く取り込むことで、雪を降らせる原因となります。

対馬海流のおかげで、日本海側の地方は特に冬期において豊富な水資源を持ち、逆に暖流の影響で前線や低気圧も発生しやすくなります。冬は冷え込みが緩やかであるものの、荒天が続くことが多いです。

夏季には対馬海流の効果で日本海側の温度が少し高くなり、日照時間が長くなることが特徴です。特に北陸や東北の日本海側の地域は、冷涼な気候からの影響を受けにくく、冷害が起こることも少ないです。

このように、対馬海流は日本海側の冬の雪や水資源を豊かにし、夏には温暖な気候をもたらすことで、優れた農地の形成に寄与しています。結果として、米作りに良好な環境を提供していると考えられています。

もう一度検索