専称寺 (山形市)

専称寺の概要

専称寺（せんしょうじ）は、山形市緑町にある真宗大谷派の寺院であり、山号は最上山です。この寺院の本尊として奉られているのは、阿弥陀如来で、伝春日作とされています。

起源と歴史

専称寺の歴史は文明15年（1483年）に遡ります。本願寺第8世の蓮如の高弟、願正が現在の天童市高擶に草庵を構えたことがその始まりです。この寺は、第3世の寿全によって専称寺と名付けられ、以降様々な歴史を刻んでいきます。特に有名なのは、文禄4年（1595年）に起きた事件です。この年に、最上義光の娘である駒姫が処刑されるという悲劇があり、この出来事が専称寺の歴史に深く関わってきました。

駒姫の母である大崎夫人は、浄土真宗に帰依しており、彼女のための供養をするために、寺を高擶から山形の二王堂小路に移しました。その後、慶長3年（1598年）には、新たに寄進された土地に壮大な伽藍が建立され、ここに13ヶ寺の塔頭を持つ寺内町が形成されました。この地域は「専称寺町」と呼ばれ、現在でも多くの寺院が残っており、山形市の歴史的なランドマークとなっています。

また、専称寺は地理的にも重要な位置にあり、戦略的に観察点として機能していました。さらに、領内の96か寺がこの寺の末寺として整列し、一向一揆を抑える役割も担っていました。

伽藍の構成

専称寺の境内は4974坪あり、その広大さは訪れる人々を圧倒します。本堂と表門は元禄16年（1703年）に建立され、現在も山形市内で最も広い寺院の建物の一つとされています。特に、本堂は江戸時代中期の木造建築としては東北地方で最高の評価を受けており、その大きさと美しさは訪問者に感動を与えます。

書院や庫裏、鐘楼は慶長年間の建築物であり、これらに使われている梵鐘と鐘楼は、山形県の指定文化財となっています。本堂の四隅には左甚五郎作と伝わる力士像があり、訪れる人々に歴史を物語ります。また、境内にある大イチョウ、別名「雪降り銀杏」は根回りが7.5メートルもあり、市の天然記念物として保護されています。

文化財の重要性

専称寺には、さまざまな文化財が保存されており、これもまたこの寺院の魅力の一部です。例えば、専称寺鐘楼は県指定の有形文化財で、建築年代は不明ですが、梵鐘の鋳造は慶長11年（1606年）頃と考えられています。また、絹本著色の願正上人像や義光夫人像も県指定の文化財であり、桃山時代の狩野派の作品とされています。これらの文化財は、歴史と芸術が交差する重要な証しです。

交通アクセス

専称寺へは、山形駅から約2.5kmの距離で、山交バスを利用する場合は「専称寺口」下車から徒歩約2分というアクセスの良さも魅力です。

このように、専称寺はその歴史的背景と文化財の豊富さから、地元の人々だけでなく、多くの観光客にとっても訪れる価値のある場所となっています。

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