小出英尚

小出英尚の生涯と系譜

小出英尚（こいで ふさなお）は、丹波国園部藩の第10代藩主であり、吉親系小出家の10代目にあたります。彼の生涯は、幕末の混乱の時代において新たな時代への移行を見守った重要なものです。

生い立ちと藩主就任

英尚は、前藩主である小出英教の長男として1849年に生まれました。彼の正室は坊城俊政の娘である録子で、さらに継室として浅倉七五郎の娘・菊江、庭田重胤の娘・胤子を迎えました。彼との間には長男の英延、次男の英経、三男の英鋪など、給与だけではなく、婚姻によって家系を支える重要な子女を持ちました。

1856年、父英発の死去により藩主に就任した英尚は、文久3年には従五位下・伊勢守に叙任されることになります。彼は藩主としての重責を担い、藩の運営にあたります。

新政府への支持

明治維新という大変革において、英尚は早くから新政府を支持する姿勢を示しました。慶応3年の11月には上洛し、朝廷の命令にも応じて新政府に対する忠誠を誓いました。しかし、慶応4年の1月には藩の重臣たちが西園寺公望の指揮する山陰道鎮撫軍に従い、意見が分かれることもありました。

新政府は、京が戦火に呑まれた際には明治天皇を英尚の居城である園部城に避難させる計画を立てます。そのため、英尚は新政府から園部城の改築許可を得ることになり、1869年4月にはその工事を完了させます。結果として、京都は戦火から免れ、天皇は無事に京に留まることができました。

近代日本における役割

1869年6月には、版籍奉還により藩知事の職位に就きますが、1871年には廃藩置県により免官となります。その後、東京に移住し、明治16年には隠居し、息子の英延に家督を譲りました。このように、英尚は藩主として、そして近代国家の形成において重要な役割を果たしました。

系譜

小出英尚の系譜は非常に多岐にわたります。彼の父は小出英教で、母は小出英発の三女です。子どもたちの中でも特に目立つのは、長男の小出英延であり、彼は後に子爵となり、掌典を務めるようになります。次男の小出英経は昭和天皇の侍従を務めた実績があります。

また、女子たちも各々に婚姻を通じて他家に嫁ぎ、家系をつなげています。錠子は東胤禄、松平義為、泰子は大谷尊由、恵子は黒田長敬にそれぞれ嫁ぎました。このように、英尚の家族は多方面にわたる影響力を持つ一族となりました。

最後の日々

小出英尚は1905年に57歳でその生涯を閉じました。彼の生涯は、幕末から明治にかけての日本の政治変革の中で重要な位置を占めていました。藩主としての責任、家族との繋がり、そして新政府との関係形成は、彼の足跡として今なお語り継がれています。本来の藩主としての役割を果たしつつ、新たな時代への移行を見届けた小出英尚の歴史は、日本の運命を理解する上でも欠かせないものです。

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