小原村 (愛知県)

小原村（おばらむら）

概要

小原村は、かつて愛知県西加茂郡に存在した村です。和紙工芸の里として知られ、特に「小原和紙」は愛知県の郷土工芸品に選定されています。2005年（平成17年）に藤岡町、足助町、下山村、旭町、稲武町とともに豊田市へ編入合併し、その歴史に幕を閉じました。

地理

小原村は愛知県中央部の北端、三河高原の北西部に位置していました。村域の大部分が標高300メートル以上の山地で占められ、北は岐阜県土岐市、恵那郡明智町、南東は東加茂郡旭町、南西は西加茂郡藤岡町に接していました。西加茂郡の中心地から離れた山間部に位置していたため、「西加茂郡の北海道」と呼ばれていたこともあります。村の東西、南北の長さは約10.7km、面積は74.5平方キロメートルで、その83%が山林でした。年平均気温は14.1℃と名古屋市よりやや低く、年降水量は1670mmと愛知県の平野部より多いのが特徴です。

地形

山岳

西山：標高712m。岐阜県土岐市との境界に位置しています。

河川

矢作川：村の南東端を流れ、足助町や旭町との境界となっています。百月発電所があり、かつては筏流しが行われていました。
犬伏川：矢作川の支流で、村の中心部である大草などを流れています。
田代川：矢作川の支流で、上仁木や下仁木などを流れています。川下発電所があります。
阿妻川：矢作川の支流で、岐阜県恵那市との境界を流れています。

歴史

沿革

1900年（明治33年）：小原発電所（現・川下発電所）が竣工。
1906年（明治39年）：豊原村、福原村、清原村、本城村が合併し、小原村が発足。村名は、この地域が古くから足助之庄小原郷と呼ばれていたことに由来します。
1922年（大正11年）：村内に電力会社小原電灯が開業。
1936年（昭和11年）：小原村役場の庁舎が完成。
1969年（昭和44年）：協豊製作所小原工場が操業を開始。
1972年（昭和47年）：昭和47年7月豪雨により土砂災害が発生し、32名が亡くなる甚大な被害を受けました。この災害は「四七・七災害」と呼ばれています。
1977年（昭和52年）：小原村役場の新庁舎が開庁。
1982年（昭和57年）：緑の公園がオープン。
1990年（平成2年）：小原村中央公民館が開館。
2005年（平成17年）：豊田市に編入合併され、小原村は廃止。大字大草は小原町に改称。

行政

歴代村長

(詳細は原文参照)

名誉村民

(詳細は原文参照)

友好都市

碧南市（愛知県）：1992年4月5日に友好都市提携。小原和紙工芸の創始者である藤井達吉が碧南市出身である縁と、矢作川の上流域と下流域という共通点が理由です。

経済

小原和紙

小原村では、良質な楮が手に入りやすく、和紙の加工に適した水が豊富であること、農閑期の仕事として最適であることなどから、和紙作りが盛んになりました。ここで生産される和紙は小原和紙（三河森下紙）と呼ばれ、愛知県の郷土工芸品に指定されています。

室町時代には、三玄寺の柏庭和尚が和紙の製造技術を持ち込み、江戸時代には多くの和紙が漉かれていました。明治時代には27戸が紙漉きを生業としていましたが、機械漉き和紙の普及や生活様式の変化により需要が減少し、1977年には最後の1戸が廃業しました。

手漉き和紙の衰退を打開するため、昭和初期から民芸品として小原工芸紙が生産されるようになりました。工芸家の藤井達吉は、小原村で和紙工芸の指導を行い、多くの工芸作家を育成しました。小原工芸紙は、屏風や襖紙、額などが国内外で販売されています。

文化

小原歌舞伎

江戸時代中期頃に神社への奉納として始まったとされる地芝居です。農村の娯楽として広まり、明治時代には「万人講」という歌舞伎役者の一座も存在しました。昭和24年頃に最盛期を迎えましたが、昭和35年頃から衰退しました。1989年に豊田市無形民俗文化財に指定され、現在は小原歌舞伎伝承館「ザ・小原座」で、保存会により定期的に上演されています。

教育

高校

愛知県立猿投農林高等学校小原分校：1949年開校、1973年閉校。

中学校

小原村立小原中学校

小学校

小原村立中部小学校：1978年に福原小学校、清原小学校、簗平小学校を統合して開校。
小原村立道慈小学校
小原村立本城小学校

交通

鉄道

小原村には鉄道路線は存在しませんでした。最寄りの駅は、岐阜県の明知鉄道明智駅、または名古屋鉄道（名鉄）三河線・豊田線の豊田市駅です。

バス

村の南西部は、かつて名鉄バスが豊田市駅から乗り入れていましたが、合併後は豊田おいでんバスに継承されました。北部には、地域デマンドバス「おばら桜バス」が運行しています。かつては岐阜県瑞浪市方面から東鉄バスが乗り入れていました。

道路

一般国道：国道419号
主要地方道：愛知県道19号土岐足助線、愛知県道20号瑞浪大野瀬線
一般県道：愛知県道351号上仁木明智線、愛知県道353号大平折平線、愛知県道354号平畑土岐線、愛知県道355号島崎豊田線、愛知県道485号沢田御作線

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

旧跡

大草城（市場城址）：室町時代の山城。

寺院

観音寺：真言宗の寺院。標高360mの山頂にあります。
嶺雲寺：曹洞宗の寺院。樹齢400年のしだれ桜があります。
薬師寺：真言宗の寺院。寺子屋としても利用されました。
西運寺：浄土宗の寺院。
広円寺：曹洞宗の寺院。
松月寺：曹洞宗の寺院。
祝峰寺：臨済宗妙心寺派の寺院。「だるま寺」として知られています。
教聖寺：真宗高田派の寺院。「イチョウノキ」と「ボダイジュ」は豊田市指定天然記念物。
祐福寺：真宗高田派の寺院。
善明寺：真宗高田派の寺院。
東泉寺：真宗高田派の寺院。

神社

蚕霊神社：小原村で唯一の教派神道の神社。蚕を祀っています。
白鳥神社：大同2年創建と伝わる神社。
白山神社 (大平)：大平・寺平・喜佐平・藤岡町大岩の氏神。
白山神社 (乙ケ林)：乙ケ林・千洗・西萩平の氏神。
八柱神社：雑敷・柏ケ洞・大ケ蔵連・前洞の氏神。
諏訪神社 (上仁木)：信濃国の諏訪から奉迎された神社。
白鳥神社 (下仁木)：小原村最古の神社。
峯森神社：苅萱にある神社。
熊野神社：市場にある神社。「大草日通しのヒノキ」は豊田市指定天然記念物。
賀茂原神社：大草にある神社。「賀茂原神社のスギ」は豊田市指定天然記念物。
白山神社 (西細田)：西細田にある神社。
家康の腰掛石：徳川家康が座ったとされる石。

祭事・催事

小原四季桜まつり：毎年11月1日から11月30日に開催される、四季桜の見どころ。
青空まつり：小原商工会主催の文化祭。毎年11月3日開催。
盆踊り花火大会：毎年8月15日に開催。

施設

愛知高原国定公園
和紙のふるさと：和紙の博物館。
小原劇場：昭和30年代にあった映画館。
豊田市生涯学習センター小原交流館：小原村中央公民館として開館。
緑の公園：複合運動施設。
豊田市小原郷土館：旧小原村役場庁舎を利用した歴史民俗資料館。
小原カントリークラブ：ゴルフコース。
パインズゴルフクラブ：ゴルフコース。
豊田市歌舞伎伝承館：小原歌舞伎の資料館。

出身者

(詳細は原文参照)

脚注

(詳細は原文参照)

参考文献

『小原村誌』小原村教育委員会、2005年

関連項目

愛知県の廃止市町[[村]]一覧

外部リンク

四季桜と紅葉の共演美「小原観光協会」 豊田市
豊田加茂合併協議会（2005/03/27アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project

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