小堀清一

小堀清一：将棋界のベテラン棋士、そして「将棋学徒」

小堀清一（こぼり せいいち）は、1912年2月10日生まれ、1996年2月2日没の将棋棋士です。神奈川県横浜市出身で、金子金五郎九段に師事しました。長年にわたる棋士生活で、数々の偉業を達成し、将棋界に大きな足跡を残しました。

棋士としての歩み

1929年、17歳の若さで金子金五郎九段門下となり、新進棋士奨励会に入会。その後、順調に昇段を重ね、1936年に四段に昇段します。

その後も棋力向上に励み、1952年、39歳という年齢で順位戦A級に昇級、同時に八段に昇段しました。順位戦A級には2期在籍し、その実力を示しました。

1953年にはAB級選抜戦で優勝。1956年には、当時一般棋戦であった王座戦で優勝を果たし、翌1957年も準優勝と、タイトル戦でも活躍しました。

特に注目すべきは、1984年の九段昇段です。この昇段は、公式戦の累計勝数による昇段規定が新設されたことに伴うもので、72歳という高齢での九段昇段は、2018年現在も現役棋士として最年長記録として残っています。明治生まれの棋士として、現役を長く続けたことでも知られています。

現役生活の最後となった1986年の順位戦では2勝8敗と苦戦しましたが、当時15歳だった羽生善治四段と対戦。深夜1時まで熱戦を繰り広げた後、翌朝8時まで感想戦に没頭したという逸話は有名です。

70歳の時には第40期順位戦C級2組で7勝3敗と勝ち越す活躍を見せ、この記録は、有吉道夫九段が記録を更新するまで、順位戦における最年長勝ち越し記録として長く残りました。

1987年4月1日、75歳で現役を引退。その後、1996年2月2日、肺炎のため83歳で生涯を閉じました。生涯独身でした。

「小堀流」と研究熱心さ

小堀清一は、研究熱心で知られており、「将棋学徒」という異名を持っていました。特に、四段時代に考案した「小堀流」と呼ばれる腰掛け銀戦法は、腰掛け銀定跡の基礎を築いたと評価されています。

現役時代を通して腰掛け銀戦法を愛用し続け、前述の羽生善治四段との対局でもこの戦法を用いました。さらに、先手の横歩取りに対しては「小堀流4二玉戦法」を愛用し、引退まで指し続けました。

その将棋への情熱は並々ならぬもので、大山康晴十五世名人から直接将棋を学びたいと、大山名人が滞在していた熱海の旅館に突然訪れたという逸話も残っています。

棋士としての成績

通算成績：358勝549敗
一般棋戦優勝：AB級選抜戦（1回）、王座戦（1回）

小堀清一は、その卓越した棋力と並外れた研究熱心さ、そして将棋への深い愛情によって、将棋界に大きな足跡を残した棋士と言えるでしょう。彼の功績は、後世の棋士たちにも大きな影響を与え続けています。

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