小外掛

小外掛：柔道の足技とMMAにおける応用

小外掛（こそとがけ）は、柔道の主要な投技の一つであり、足技に分類されます。講道館柔道および国際[[柔道連盟]]（IJF）で正式名称として認められており、IJF略号はKSKです。相撲の外掛けと類似した技法を持つとされています。

基本動作と小外刈との違い

小外掛の基本動作は、相手との組み手から始まります。右手で相手を釣り上げ、左手を用いて相手の右肘を押し上げ、後方にバランスを崩させます。この状態から、左足をやや曲げ、左足裏を相手の右外踵の後ろに掛けます。そして、左足で摺り上げながら、両手で相手を上方へ持ち上げ、後方へ倒すことで技が成立します。

小外掛とよく似た技に小外刈がありますが、両者には重要な違いがあります。小外刈は、相手の横に回り込み、両足を崩してから足裏を相手の脚の後ろ（ふくらはぎ、くるぶし、アキレス腱など）に差し込み、横から刈るようにして相手を倒す技です。一方、小外掛は正面から、相手の脚の後ろに自分の足を掛けて、踵を崩し、すり上げるようにして相手を倒します。この違いは、技をかける角度と、相手の脚へのアプローチ方法に顕著に表れます。

大内刈に対して小外掛を仕掛けた場合、大内返となることがあります。これは、相手の動きに合わせて技を変化させる柔道の奥深さを示す一例です。

変化と応用

小外掛は、基本動作以外にも様々な変化があります。例えば、ベアハグ（相手の胴体に両腕で抱きつく状態）からの小外掛は、相手との密着状態を活かした有効な技法です。かつては、離れた間合いからのハイタックルやベアハグからの小外掛も用いられていましたが、柔道ルールにおけるベアハグの禁止に伴い、現在ではあまり見られなくなりました。

MMA（総合格闘技）においても、小外掛は有効なテイクダウン技として用いられています。特に、ヒクソン・グレイシーは、バーリ・トゥードジャパン94で小外掛を多用し、トーナメント優勝を果たしました。小外掛の利点として、テイクダウン後のハーフガードやマウントポジションへの移行が容易である点が挙げられます。また、投げ技と比較して失敗時のリスクが低いことも大きな特徴です。UFCにおいても、レオン・エドワーズがカマル・ウスマンから小外掛でテイクダウンし、マウントポジションを奪った事例があります。

さらに、相手の襟を掴んで釣り上げ、相手の肘を押し上げることでバランスを崩し、小外掛をかけるというバリエーションも存在します。

二段小外掛、隅倒、小外落、外掛

小外掛には、二段小外掛、隅倒、小外落、外掛といった派生技も存在します。

二段小外掛: 二段モーションの小外掛で、最初の小外掛や小外刈が不成功だった場合に、連続して二度目の小外掛で倒す技法です。他にも、大外刈からの繋ぎ技として用いられるケースもあります。
隅倒: 相手を前隅に傾けた後に、抵抗に乗じて後隅に崩し、左足裏を相手の踵に当てて倒す小外掛です。
小外落: 柔道において決まり技となったこともある技で、金澤利三郎の小外落は背負投と小外刈を組み合わせたような技だったという証言もあります。
外掛: 受を側方に倒す小外掛で、釣り手と引き手の動きを連携させ、相手のバランスを崩して倒す技です。

これらの派生技は、状況に応じて使い分けられる小外掛の汎用性の高さを示しています。

名称の変遷と歴史

1982年の講道館柔道の投技名称制定において、二段小外掛は当初独立した名称として候補に挙がりましたが、最終的には小外掛に含まれることとなり、独立した名称としては採用されませんでした。

小外掛は、柔道の伝統的な技法でありながら、現代のMMAなど様々な格闘技においても有効な技として活用され続けています。その歴史と多様な応用方法は、柔道の奥深さを改めて感じさせるものです。

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