小山五郎

小山五郎（こやま ごろう）

小山五郎は、1909年3月25日に生まれ、2006年3月2日に逝去した、日本の銀行家です。三井銀行（現在の三井住友銀行）において、社長、会長を歴任し、その手腕を発揮しました。位階は従三位。

生涯

群馬県太田市出身。東京帝国大学経済学部を卒業後、1932年に三井銀行に入行しました。三井グループが抱えていたイラン・ジャパン石油化学（IJPC）の問題解決に尽力し、その際、旧制静岡高校の同窓であった中曽根康弘元首相の協力を得たという逸話も残っています。また、三越や鐘淵化学工業（現カネカ）の再建においては、黒幕的な調整役として活躍し、江戸英雄とともに三井グループの長老として重きをなしました。

しかし、その頑固な性格から「ケンカ五郎」という異名を持ち、時には「人斬り五郎」、「三井の首領（ドン）」などとも呼ばれることもありました。2006年3月2日、心不全のため東京都内の病院で96年の生涯を閉じました。日本経済新聞は、その訃報で「火中の栗を拾う『剛腕』 - 戦後の三井をリード」と評し、戦後金融界を代表する人物の一人として、その死を惜しみました。

多忙な日々を送る一方で、無類のプロレスファンであり、テレビ中継を欠かさず観戦していました。また、絵画を趣味とし、少年時代は画家を目指していたこともありました。三井銀行入行後も、業務の合間を縫って絵を描き続けていたという逸話も残っています。没後には、その作品展がカメイ美術館（宮城県仙台市）で開催されました。

日本を守る国民会議の顧問も務めるなど、幅広い分野で活躍しました。

略歴

旧制太田中学（現・群馬県立太田高等学校）、旧制静岡高校（現・静岡大学）卒業
1932年 東京帝国大学経済学部卒業、三井銀行入行
丸の内支店長、大阪支店長を歴任
1968年 三井銀行社長に就任
1971年 全国銀行協会連合会会長に就任
1973年 東京商工会議所副会頭に就任（ - 1985年）
1974年 三井銀行会長に就任
1982年 三井銀行取締役相談役に退く
1990年 三井銀行と太陽神戸銀行の合併を支援、さくら銀行設立に貢献
2006年3月2日 心不全のため死去（享年96歳）。墓所は青山霊園

三越岡田社長解任事件

1982年に発覚した三越の不祥事（三越事件）において、社外取締役として岡田茂社長に辞任を勧告しました。岡田社長がこれを拒否したため、経営陣への根回しを行い、社長解任に大きく貢献しました。この事件については、高杉良の著書『王国の崩壊』で詳細が語られています。

家族・親族

妻は小山完吾の娘で、福澤諭吉の曾孫にあたります。小山五郎自身は、群馬県の大口納税者であった大島戸一の五男であり、小山家の婿養子となりました。長男は東芝、次男は東レに勤務していました。いとこには、大蔵官僚の大島寛一がいます。

受賞歴

日本

藍綬褒章（1972年）
勲一等瑞宝章（1981年）
紺綬褒章（1982年）
従三位（2006年）

外国

タイ王国勲一等王冠章（1982年）
タイ王国勲一等白象大綬章（1988年）
インド・パドマ・ブーシャン勲章（1992年）

関連項目

三井三池争議

参考文献

* 早川隆『日本の上流社会と閨閥』角川書店、1983年9月。

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