小島貞博

小島貞博：名馬と共に駆け抜けた波瀾万丈の人生

小島貞博（こじま さだひろ）は、日本中央競馬会（JRA）に所属し、騎手として、そして調教師として名を馳せた人物です。1951年北海道新冠町に生まれ、幼少期は貧しいながらも、小笠原牧場で働きながら騎手への夢を育みました。1967年、戸山為夫厩舎に入り、1971年に騎手デビュー。当初は平地競走が中心でしたが、師匠である戸山、そして兄弟子にあたる鶴留明雄の影響を受け、障害競走でも頭角を現します。

障害競走での活躍と転換点

1978年、フラストメアで京都大障害（秋）を制し重賞初勝利。1982年にはキングスポイントで中山大障害を春夏両制覇するなど、障害競走の名手として名を挙げました。高い勝率を誇った小島でしたが、1986年末の落馬事故で重傷を負い、戸山からの勧めで平地競走に転向することになります。

ミホノブルボンとの黄金時代

平地競走でも活躍は続き、キタヤマザクラなどで重賞を制覇。しかし、真の転機は1991年に訪れます。戸山厩舎に入ったミホノブルボンとの出会いでした。逃げを武器とするミホノブルボンは、距離の不安が囁かれる中、小島は一貫して逃げの作戦を貫き、1992年の皐月賞、日本ダービーとクラシック二冠を達成。皐月賞制覇後には感極まって涙を流したという逸話は有名です。続く菊花賞では三冠がかかりましたが、惜しくも2着。このレースでの騎乗について、戸山と意見の相違がありましたが、ミホノブルボンの才能を最大限に引き出したことは間違いありません。しかしその後、ミホノブルボンは故障により引退、これが小島にとって生涯唯一の敗戦となりました。

師匠の死と騎手人生の岐路

1993年、戸山が死去。厩舎が解散し、小島はフリーとなります。その後、かつての戸山厩舎所属馬を引き継いだ森秀行厩舎から騎乗依頼が減少し、引退も考えましたが、鶴留の支援を受け、再び活躍の場を得ます。1994年にはチョウカイキャロルで優駿牝馬を、1995年にはタヤスツヨシで2度目の日本ダービーを制覇。ダービー2勝騎手となりました。その後、若手騎手の台頭もあり、1997年からは勝利数が減少。2001年、調教師免許を取得し、騎手生活に幕を閉じました。騎手としての通算成績は4722戦495勝、重賞27勝（G1-5勝）という輝かしいものでした。

調教師としての新たな挑戦と悲劇

2003年、栗東トレーニングセンターに厩舎を開業。初年度から15勝を挙げ、2005年にはテイエムチュラサンがアイビスサマーダッシュを制し、調教師として重賞初勝利。年末にはテイエムドラゴンが中山大障害を制覇し、騎手、調教師両方の立場での中山大障害制覇という偉業を達成しました。しかし、2012年1月23日、60歳という若さで急逝。自殺でした。厩舎経営の困難さが背景にあったとされています。調教師としての通算成績は1705戦137勝、重賞5勝（G1-1勝）でした。

戸山為夫との師弟関係

小島の人生において、師匠である戸山為夫の存在は非常に大きいです。戸山は、小島を父親のように温かく見守り、厳しいながらも愛情深い指導を続けました。小島と戸山の師弟関係は、競馬界における名エピソードとして語り継がれています。戸山の死は、小島にとって大きなショックであり、その後の小島の人生にも大きな影を落としました。

まとめ

小島貞博は、数々の名馬と共に走り続け、騎手として、調教師として、競馬界に大きな足跡を残しました。華々しい活躍の裏には、貧しい生い立ち、師匠との別れ、そして経営難など、数々の困難がありました。それでも彼は、常に前を向いて、自身の信念を貫き通しました。彼の生き様は、多くの後進たちに勇気を与え続けるでしょう。彼の功績は、日本の競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

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