小川城 (駿河国)

小川城についての詳細

小川城（こがわじょう）は、静岡県焼津市西小川5丁目付近で存在した日本の平城です。この城は、駿河国志太郡小川に勢力を誇った長谷川氏の居館として知られています。城は、瀬戸川や大井川など複数の河川によって形成された志太平野の沖積低地に位置しています。

城の歴史と長谷川氏

城の主である「法永長者」とは、長谷川次郎左衛門正宣（または政宣）を指し、彼は『今川記』では「山西の有徳人」と称されています。長谷川氏は小川湊の物流を主管し、その地域で繁栄を遂げました。1486年に駿河国の守護であった今川義忠が討死するという事件が発生し、その後義忠の嫡男である龍王丸（後の今川氏親）と小鹿範満との家督争いが起きました。この際、長谷川氏は龍王丸とその母である北川殿を一時保護し、今川氏の被官となることを選びました。

1526年には、連歌師の宗長を招いて、城で連歌会を催した記録も残されています。このことは、城の文化的な側面を示しています。

小川城の廃城とその背景

小川城が廃城となったのは、1568年に始まった武田信玄の駿河侵攻の影響によるものと考えられています。1570年頃に西駿河が武田勢によって制圧され、当時の城主である長谷川正長は徳一色城に移り戦っていたため、小川城らしい戦闘の記録は残っていません。しかし、発掘調査により見つかった遺物には火災を受けたものが多く、長谷川氏がこの城を放棄した際、放火された可能性や、空城となった後に武田勢によって襲撃されて焼失したことが推測されています。

遺跡の発見

小川城の遺跡は1979年から始まった土地区画整理事業をきっかけに発掘調査が行われ、その結果、城の遺構が発見されました。この遺跡は「道場田・小川城遺跡」と呼ばれ、古墳時代の水田遺構や遺物を含むことでも知られています。城の形状は長辺が約150メートル、短辺が約90メートルの長方形であり、15メートルの幅をもつ堀が四方を取り囲んでいます。また、堀の中には少なくとも3つの区画があり、そのうちの一区画では南向きの掘立柱建物も見つかっており、主殿と考えられています。

発掘からは、15世紀後半から16世紀前半にかけての陶器や贅沢品までが出土しています。これらの出土品は、城外の集落遺構と比較してその質に大きな差があり、長谷川氏がかつてこの地で栄えていたことを証明しています。

まとめ

小川城は、静岡県焼津市における地域の歴史の中で重要な役割を果たした平城です。長谷川氏の繁栄や文化活動、さらには城の衰退といった時代の変遷を反映したこの城跡は、歴史の興味深い一端を垣間見ることができる貴重な遺産となっています。

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