小川正孝

小川正孝

小川正孝は、1865年に生まれ、1930年に生涯を閉じた日本の化学者です。彼は、東北帝国大学の総長と教授を兼任しました。松山中学から東京大学に進学し、その後、静岡県尋常中学校で教鞭を執りました。さらに、ロンドン大学のラムゼー研究室に留学し、トリウム鉱石中に新元素を探す研究に取り組みました。

「ニッポニウム」発見と誤り

1908年、小川は「原子量が約100の43番目の元素」を発見したと発表し、これを「ニッポニウム(Np)」と命名しました。しかし、その後の追試で存在の明確な証拠が得られず、43番目の元素は1947年にテクネチウムとして発見されました。この発見はセグレによって重水素とモリブデンの衝突実験によって成し遂げられました。

ニホニウムと小川の研究

[理化学研究所]]が113番元素を発見し、2016年に「[[ニホニウム]」と命名しましたが、これは小川の研究に敬意を表したものでした。

東北大学総長としての活動

1919年から1928年まで、小川は東北大学の総長を務め、金属材料研究所や工学部の創設に尽力しました。総長職を務める傍ら、個人実験室でニッポニウムの研究を続けましたが、1930年に実験中に倒れ、大学病院で亡くなりました。彼の次男である栄次郎も父の遺志を継ぎニッポニウムの研究を続けましたが、若くして亡くなりました。

研究の再評価とレニウムの可能性

1990年代になり、東北大学の吉原賢二によって小川の研究が再検討された結果、小川が発見したと考えられていた元素は、原子番号75のレニウムである可能性が高いという結論に至りました。レニウムは1925年にノダックらによって発見されています。小川が亡くなる直前の1930年春には、彼自身が精製したニッポニウムを含む試料を東京大学と東北大学金属材料研究所でX線分析にかけており、その結果、ニッポニウムがレニウムであるという結論に至っていました。当時、日本ではX線分析装置が導入されたばかりでした。電子回折研究の第一人者だった四男の四郎は、この事実を知って大変喜んだとされています。

教え子

小川の教え子には、大正製薬の創業者である石井絹治郎がいます。

家族

父：小川弘正（愛媛県士族）
妻：クミヲ（福井藩士・藤島神社宮司の大館尚氏の三女）
次男：小川栄次郎（化学者、九州大学教授）
四男：小川四郎（物理学者、東北大学金属材料研究所及び芝浦工業大学教授）

栄典

1925年（大正14年）1月27日 - 勲二等瑞宝章
1928年（昭和3年）7月2日 - 正三位

参考文献

NHK教育テレビ: 明治サイエンス事件帳 第3回 幻の発見～新元素“ニッポニウム”

外部リンク

小川正孝 - 新元素「ニッポニウム」の発見者 (PDF)

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