小川殿

小川殿（おがわどの）は、足利将軍家が所有していた邸宅の一つです。場所は京都市上京区、現在の宝鏡寺の隣地にあったと推定されており、現在では宝鏡寺の敷地の一部となっています。小川御所（おがわのごしょ）とも呼ばれていました。

ただし、足利義満の弟である満詮が、母の紀良子と共に武者小路小川の邸宅に住み、「小川殿」「小川殿大御所」と呼ばれていましたが、これは本項で解説する邸宅とは別の建物です。

小川殿は元々、細川勝元が所有していた邸宅の一つでした。応仁の乱（1467年-1477年）の最中である文明3年（1471年）頃から、足利義政が利用するようになります。義政が息子の義尚に将軍職を譲った後の文明6年（1474年）には、正式な居宅となりました。

文明8年（1476年）に室町御所が焼失すると、義政の正室である日野富子、義尚、そして応仁の乱を避けて室町御所に避難していた後土御門天皇が小川殿に避難しました。その後、富子のために居室が増築されましたが、義政も義尚も富子との不仲が原因で小川殿を離れ、文明15年（1483年）以降は富子のみが住む邸宅となりました。

延徳元年（1489年）に義尚が急逝すると、富子は対立していた足利義視（義政の弟）と和解し、その息子である足利義材（義政・富子の甥）を後継者に迎え入れます。翌年に義政が亡くなると、富子は小川殿で夫の菩提を弔いました。しかしその後、富子は義材ではなく、別の甥で僧侶であった清晃に小川殿を譲ろうとします。これを知った義視は激怒し、富子の居室を除いて小川殿を破却してしまいました。それでも富子は小川殿に住み続け、後に義材に代わって清晃を将軍に擁立しようとする明応の政変に関わることになります。

現在、小川殿の敷地があった場所の一部を占める宝鏡寺には、日野富子の木像が安置されています。

参考文献
* 臼井信義「小川御所」（『国史大辞典 2』吉川弘文館、1980年）ISBN 978-4-642-00502-9

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