小林錡

小林 錡（こばやし かなえ）

小林錡は1888年3月3日に愛知県西加茂郡寺部村に生まれました。彼は日本の政治家であり、検察官としても著名です。衆議院議員として8期を務め、裁判官弾劾裁判所の裁判長など、多岐にわたる重要な役職を歴任しました。

学生から法律の道へ

彼の教育歴は、1903年に寺部尋常高等小学校（現在の豊田市立寺部小学校）を卒業したことに始まります。1908年には東京府青山師範学校を卒業し、同年4月から東京市麹町尋常小学校で教鞭をとりました。その後、1912年には日本大学法文学部英法科を卒業し、1915年に判事検事登庸試験に合格しました。彼は佐賀地方裁判所や甲府地方裁判所、東京地方裁判所などで検事として活躍し、法律の実務経験を積んでいきました。

1923年にはドイツに留学し、ベルリン大学法科で欧米の政治、経済、法律について深く研究しました。1926年に同大学を卒業すると、帰国後は日本大学の教授として教鞭をとります。同年、ベルリン大学で出会った文科の学生、ゲルト・ルードと結婚しました。

政治家への道のり

小林は1928年の第1回普通選挙で立憲政友会から旧愛知4区に立候補しましたが、惜しくも落選します。しかし、1930年には第17回衆議院議員総選挙で当選し、以後も1932年と1936年の選挙でも再度当選を果たしました。1937年の総選挙では落選し、1942年の選挙でも翼賛政治体制協議会からの推薦が得られず、残念ながら再び落選しました。

戦後の1946年4月に行われた第22回衆議院議員総選挙では、旧愛知2区から出馬し、ついに当選を果たしました。その後、6月4日には第1次吉田内閣の商工政務次官に就任しましたが、公職追放を受け、1947年に辞任することとなります。その後の選挙には出馬できない時期が続きましたが、1951年に公職追放が解除され、1952年と1953年の選挙で再当選を果たしました。1955年の総選挙で一度落選するも、当選者が死去したため繰り上げ当選を果たします。

議員としての活動と晩年

1957年には第46回列国議会同盟会議に日本議員団長として参加し、国際的な舞台でも活躍しました。1960年の総選挙でも当選し、衆議院法務委員長や日本大学法学部長など、様々な要職を担いました。しかし、衆議院解散の翌日である1960年10月25日に、脳出血により東京都品川区の自宅で亡くなりました。享年72歳でした。彼の後を引き継いだのは、同じ愛知県出身の浦野幸男でした。

著作

彼はまた著作活動にも取り組んでおり、代表的な著書には『改正刑事訴訟法解説』（1953年、大成出版社）や『政治犯罪の類型』（1958年、新生社）などがあります。小林錡の政治活動や法律に関する知見は、日本の法制度と政治の発展に大きく寄与したといえるでしょう。

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