小柳常吉 (1838年生)

小柳常吉：波乱万丈の相撲人生

小柳常吉（こやなぎ つねきち）は、1838年に生まれ、1881年に他界した元力士です。出身は上総国市原郡戸田村（現在の千葉県市原市南岩崎）で、本名は御簾生春吉とされています。彼は身長170cm、体重115kgの体格を持ち、相撲界で数々の優れた成績を残しました。最高位は西関脇です。

小柳の相撲キャリアは1858年の1月場所で初土俵を踏んだことから始まりました。当時は二段目にあたる階級でしたが、1861年に千草山と名を改め、徳島藩のお抱え力士として活躍することになりました。その後、1866年には東十両9枚目に昇進し、当該の場所で7勝1敗という素晴らしい好成績を収めました。この場所の優勝は徳島藩のお抱え力士、千羽ヶ嶽兵右エ門に譲る形となったものの、彼は十両時代を順調に進み、1868年6月場所で新入幕を果たしました。

新入幕の際には、千羽ヶ嶽が引き起こしたトラブルによって波乱が起こる出来事があったものの、運良く幕内に上がることができました。幕内ではその実力を発揮し、何度も優勝争いに加わるなど、強力な存在として君臨しました。1871年の4月場所では西小結に昇進するなど、順調にキャリアを積んでいきましたが、その年の内には土佐の藩主、山内容堂の期待を受けてお抱え元の変更を提案されましたが、彼はこれを断ったという逸話も伝わっています。

1873年4月には西関脇に昇進しましたが、同年の12月場所において、同じく力士である高砂浦五郎の動きにより、東京相撲を離脱する官道を取ることになりました。このため、番付から彼の名前が消されるという厳しい扱いを受けることになったのです。なお、このような状況において幕内の番付に空位が生じるのは、時津風部屋の暴行事件以前のことで、134年間もそのようなことはありませんでした。

その後、小柳は東京相撲に復帰し、再び西小結張出として競技を続けましたが、かつての輝きは失われ、成績は振るわなくなります。1877年6月には現役を引退し、引退後には4代阿武松を襲名し、阿武松部屋を経営しました。また、両国橋に寄席も運営し、多忙な日々を送っていました。

しかし、1881年8月20日、彼は関取を出すことなくこの世を去ってしまいました。享年43歳でした。彼の幕内通算成績は17場所で64勝51敗、13分2預、40休と、相撲界での彼の足跡を感じさせるものです。小柳は、数回の改名があり、名を変えては力士としての道を歩んでいました。

小柳常吉の人生は、数々の挑戦や困難に直面しながらも、しっかりとした足跡を残しました。土俵外での運命に翻弄される一方で、色白で美男子として人気を博し、当時の錦絵でも彼の姿が描かれ、多くの人々に愛されました。彼の輝かしい相撲人生は、今に語り継がれることでしょう。

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