小栗正信

小栗正信

小栗正信（おぐり まさのぶ）は、江戸時代初期の旗本であり、武術流派である小栗流の創始者として知られています。通称は仁右衛門、諱は信由とも伝えられています。

生涯

小栗正信は、徳川家康の小姓を務めた小栗忠政の次男として生まれました。幼少の頃より武芸に励み、柳生新陰流の柳生宗厳に入門し、剣術の基礎を学びました。

徳川家への仕官

正信は、家康に小姓として仕え、御膳番を務めました。慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、佐久間実勝と共に伊達政宗の陣へ赴き、旗を巻くようにという家康の命令を伝えています。翌年の大坂夏の陣では、天王寺・岡山の戦いにおいて敵兵の首を討ち取る武功を挙げました。元和2年（1616年）には、家督を長兄の政信が継いだため、550石を分知され、武蔵国足立郡に領地を与えられて旗本となりました。その後、江戸柳生の柳生宗矩に師事し、さらに剣術の腕を磨きました。また、徳川秀忠のもとで小姓組番士を務めています。寛永10年（1633年）2月7日には、上総国長柄郡で200石を加増され、合わせて750石を知行しました。

小栗流の創始

関ヶ原の戦いや大坂の陣での実戦経験から、正信は組討の重要性を痛感し、駿河鷲之助と共に独自の和術を編み出しました。これが小栗流の基盤となり、刀術を「表」、和術を「裏」とする独特の武術体系を確立しました。

小栗流の普及

正信の門下からは、山鹿素行や土佐藩士の朝比奈可長など、著名な人物が輩出されました。小栗流は土佐藩にも広まり、幕末には坂本龍馬もその目録を伝授されています。小栗流は、実戦的な武術として、多くの人々に影響を与えました。

晩年

寛文元年（1661年）6月6日、小栗正信は73歳でその生涯を閉じました。彼の創始した小栗流は、その後も多くの門弟によって受け継がれ、江戸時代を通じて武術界に大きな足跡を残しました。

小栗正信は、単なる剣術家ではなく、実戦経験に基づいて独自の武術を創始し、それを広めたことで、日本の武道史に名を刻む人物です。彼の功績は、現代においても高く評価されています。

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