小沢正夫 (国文学者)

小沢正夫：国文学研究の足跡

小沢正夫（1912年11月-2005年）は、日本の国文学を代表する学者の一人であり、愛知県立大学名誉教授として長く研究と教育に携わりました。東京の生まれで、暁星中学校、浦和高等学校を経て、東京帝国大学国文科を卒業。その後、愛知淑徳高等女学校、愛知県第一高等女学校と教員としてのキャリアを積み重ねます。

戦後、愛知県立女子専門学校（のち愛知県立女子短期大学）教授に就任。1957年には教授に昇格し、1961年には東京大学にて学位論文『古代歌学の形成についての研究』を提出、文学博士の学位を取得しました。その後、1966年には愛知県立大学教授に転じ、1976年に同大学を定年退職、名誉教授となります。

退職後もその学識を活かし、愛知学院大学、中京大学教授として後進の育成に尽力しました。小沢正夫の研究は、主に国文学、特に和歌を専門としていましたが、フランス文学などの比較文学にも視野を広げ、多角的な視点からの考察が特徴です。

数多くの著書、共編著、そして古典の校注などを通して、日本の国文学研究に多大な貢献を果たしました。代表的な著書には、『古今新古今とその周辺』（島津忠夫共編）、『作者別年代順古今和歌集』（編著）、『三代集の研究』（編）などがあります。また、『平家物語』（日本古典文学大系）の校注にも参加するなど、古典研究においても重要な役割を果たしています。

学術への貢献が認められ、1989年には紺綬褒章を受章。その業績は、日本の国文学研究史に大きな足跡を残しました。小沢正夫の学問的探究心、そして教育者としての熱意は、多くの研究者や学生たちに大きな影響を与え続け、現在も日本の国文学研究に大きな遺産として受け継がれています。

経歴の詳細

1912年：東京生まれ
東京帝国大学国文科卒業
愛知淑徳高等女学校教諭
愛知県第一高等女学校教諭
愛知県立女子専門学校教授
愛知県立女子短期大学助教授、教授
愛知県立大学教授
愛知県立大学名誉教授
愛知学院大学教授
中京大学教授
1961年：文学博士号取得（東京大学）
1989年：紺綬褒章受章

主な著作・校注

『古今新古今とその周辺』（島津忠夫共編、大学堂書店）
『作者別年代順古今和歌集』（編著、明治書院）
『三代集の研究』（編、明治書院）
『平家物語』（日本古典文学大系、高木市之助、渥美かをる、金田一春彦共校注、岩波書店）
『袋草紙注釈』（共著、塙書房）
『古今和歌集』（新編日本古典文学全集、松田成穂共校注・訳、小学館）

小沢正夫の研究は、単に古典の解釈にとどまらず、時代の背景や作者の心情を深く理解しようとする姿勢が貫かれており、現代の研究者にとっても貴重な知見を提供しています。その功績は、日本の国文学研究、ひいては日本の文化の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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