小治田安萬侶の墓

小治田安萬侶の墓

小治田安萬侶の墓（おはりだのやすまろのはか）は、奈良県奈良市都祁甲岡町に位置する古代の墓であり、奈良時代の官人である小治田朝臣安萬侶の火葬墓として知られています。この墓は、国の史跡としても登録されており、日本の古代史の一端を知る貴重な遺跡とされています。

小治田安萬侶について

小治田安萬侶（生年不詳 - 729年3月13日）は、文武から聖武の4代の天皇に仕えた官人であり、蘇我稲目の子孫とされています。『続日本紀』によると、719年には正五位上の位を授けられ、死去時には従四位下に位置していました。安萬侶は、文官としてのキャリアを誇り、当時の日本において重要な役割を果たしていたと考えられています。

墓が発見された背景には、1912年（明治45年）に茶畑の開墾中に木櫃が偶然見つかり、墓誌が3枚出土したことがあります。その後、1951年（昭和26年）に再度の発掘調査が行われ、火葬墓であることが確認されました。

墓地の構造

小治田安萬侶の墓は、都祁水分神社がある丘陵の南斜面に設置されており、木櫃や墓誌、さまざまな副葬品が出土しています。その中には三彩の壷、銀製の和同開珎、須恵器、土師器が含まれ、双獣双鳳文鏡が1面見つかっていることも特筆すべき点です。火葬は墓の近くで行われ、木櫃は約3.6メートルの正方形の穴の中に、炭と礫の上に置かれていました。

同じく名前が似ている太安万侶とは異なる人物であり、同じ時代の官人ということでよく間違えられることがありますが、彼らは明確に別人です。

墓誌の重要性

墓誌は金銅製であり、国の重要文化財に指定されています。その銘文は、墓の内部に向かって内側に立てかけられていたと伝えられています。墓誌が発見されることにより、当時の官人の地位や生活、文化を知る上で非常に重要な資料となっています。

アクセス方法

小治田安萬侶の墓へは、奈良交通バス「来迎寺」停留所で下車した後、北へ徒歩約10分で到着します。車利用の場合は、名阪国道の針インターから国道369号線を経由して約15分の距離です。

文化財の指定状況

本墓は1969年（昭和44年）11月29日に国の史跡に指定され、金銅小治田安万侶墓誌は1957年に重要文化財として登録されています。さらに、木櫃や副葬品も附指定として重要な文化財として保護されています。これにより、当時の文化や社会の理解を深めることが可能となっています。

参考文献

さらに詳細な情報を得るには、河上邦彦等による『大和の古墳を語る』や、奈良県立橿原考古学研究所付属博物館の特別展図録などが役立ちます。歴史を掘り下げるきっかけとして、ぜひご覧ください。

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