小海線統括センター

小海線統括センターは、東日本旅客鉄道（JR東日本）が管轄する小海線の運営を担う要衝です。長野県佐久市の中込駅構内に位置し、同線の運行に携わる運転士や車掌、そして駅員の所属組織として機能しています。中込駅の東側には広大な車両基地を併設しており、小海線を走る気動車の管理・留置を行っていますが、車両の主な検修業務はJR東日本の首都圏本部が担当しています。

このセンターに配置される車両には、「長コミ」という所属略号が付けられています。「長」は管轄である長野支社を示し、「コミ」は小海の電報略号に由来します。現在、この略号は検査を受ける際に順次省略される傾向にあります。

小海線統括センターの歴史は古く、そのルーツは佐久鉄道が国有化された1934年9月1日にさかのぼります。当初は長野庫中込機関分庫として発足し、1265形蒸気機関車や初期の気動車であるキハ40500形、キハ40600形などが配置されていました。翌1935年11月には長野庫から独立し、中込機関庫となります。この時期にはC12形やC56形といった蒸気機関車も加わりました。組織名は1936年9月1日の規則改正で中込機関区へと変更されます。

戦後、輸送形態の変化に伴い、1959年4月3日には小海線管理所が発足し、C56形が主力となります。しかし、1960年4月1日の定期旅客列車の気動車化完了により、C56形の運用は激減し、配置両数も大きく減少しました。1969年1月頃には小海線管理所が廃止され、再び中込機関区が復活。キハ10形、キハ11形、キハ51形、キハ52形といった多様な気動車が配置されるようになります。1980年4月1日時点では、DD16形ディーゼル機関車やキハ57形気動車が配置されていました。

組織改編は続き、1986年11月1日には中込運転区と改称され、長野車掌区の中込支区が中込駅に統合されました。そして、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道へと引き継がれます。1988年3月13日には中込駅の乗務員（車掌）も中込運転区に統合され、乗務員の拠点としての機能が強化されました。

1989年12月には中込運輸区と名を改め、さらに1991年4月1日には中込運輸区と小海線のすべての有人駅を統合する形で小海線営業所が誕生します。旧中込運輸区の庁舎は、新しい営業所の運行管理部門として活用されました。その後、組織再編を経て、2022年3月12日に小海線営業所は廃止され、現在の小海線統括センターへと改組され、現在に至ります。

現在、小海線統括センターには、小海線での運用を担う気動車が配置されています。2024年4月1日時点の配置車両は以下の通りです。

キハ110形気動車：合計20両が所属しています。
キハ103形（1両）：観光列車「HIGH RAIL 1375」として改造された710番台の1両（キハ103-711）が配置されています。これは元々キハ100形を改造した車両です。
キハ110形（12両）：主に普通列車として運用される100番台が12両在籍しています。かつてはより多くの車両が配置されていましたが、他の車両センターへ転出した車両もあります。かつては小海線開業80周年を記念し、朱色一色の旧国鉄色風塗装となった車両（キハ110-121）も存在しました。
キハ111・112形（7両）：2両編成3本（キハ111形とキハ112形各3両の計6両）の100番台と、観光列車「HIGH RAIL 1375」用のキハ112形710番台1両（キハ112-711）が配置されています。このキハ112-711も元々はキハ110形からの改造車です。かつて、キハ111-111とキハ112-111の編成は、小海線開業80周年を記念して、クリーム色と朱色の旧国鉄急行色風塗装となっていました。
* キハE200形気動車：3両全てが当センターに配置されています。これらの車両はハイブリッドシステムを搭載しており、2007年7月31日から小海線での営業運転を開始しました。

これらの車両が検査などで長野総合車両センターへ回送される際には、小淵沢駅で中央本線に入り、篠ノ井線を経由するルートが用いられます。小海線統括センターは、このように組織名や配置車両を変遷させながら、日本の高原を走る小海線の安全かつ円滑な輸送を支え続けているのです。

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