水野忠職

水野忠職について

水野忠職（みずの ただもと）は、江戸時代前期の大名で、信濃国松本藩の第2代藩主です。沼津藩水野家の2代目でもあります。初代藩主・水野忠清の次男として生まれました。

生涯

寛永11年（1634年）12月、従五位下出羽守に任じられました。正保4年（1647年）8月には家督を継ぎ、35歳で松本藩主となります。徳川家光に謁見した後、江戸城の石垣普請を担当しました。

その後、承応元年（1652年）から承応3年（1654年）、万治元年（1658年）から万治2年（1659年）、寛文元年（1661年）から寛文2年（1662年）の3期にわたり大坂城代を務めました。明暦2年（1656年）には、伯母である清浄院の死後、「京都御屋敷」を譲り受けました。寛文3年（1663年）には、将軍徳川家綱の日光参詣の警護を担当しました。同年から享保10年（1725年）の改易まで、幕命により、代々の松本藩主である水野氏が碓氷関・福島関の女手形の発行事務を担うことになりました。寛文7年（1667年）には、安中藩主であった水野元知が改易となったため、その身を預かることとなりました。

寛文8年（1668年）6月26日、江戸において56歳で亡くなりました。跡は次男の忠直が継ぎました。万治2年（1659年）には、弟の忠増に5000石を分知しています。

内政

慶安2年（1649年）には、領内の総検地（慶安検地）を実施しました。しかし、この検地は評判が悪く、やり直しや再検地の要請が相次ぎ、時には減税になったり増税になったりと混乱が続きました。また、民政確立のため、領内法度の制定や百姓訴訟法の規定などを定めました。寛文6年（1666年）から4年にわたって飢饉が発生した際には、寛文7年（1667年）3月から10月にかけて酒造の制限と売買の禁止、違反者に対する過料1貫文を定めました。また、雑穀の売買規制、煙草作りの禁止、7か条にわたる倹約令、奢侈禁止令を定めるなど、百姓保護のための規定を設けました。

寛文の飢饉は4年にわたり、松本藩に大きな被害をもたらしました。そのため、忠職に対する評判はあまり良くなく、「百姓難儀致し、世間取り沙汰悪し」と記録されています。他にも「百姓ども困窮の体」とあり、忠職の治世は飢饉と過度の年貢により非常に厳しかったとされています。ただし、忠職自身は「この人才幹ありて経綸遺業多かりし」と評価する記録も残っています。

系譜

父母
父：水野忠清
母：福寿院（前田利家の養女、小林氏の娘）
正室
中川久盛の娘
子女
次男：水野忠直（生母は正室）
娘：小笠原長章正室

参考文献

* 田中薫『松本藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2007年5月

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