小野勝年

小野 勝年（おの かつとし）

生年: 1905年12月1日
没年: 1988年12月20日
専門分野: 東洋史、仏教史

小野勝年は日本において重要な歴史家であり、特に東洋史と仏教史において多大な貢献をしました。長野県に生まれた彼は、松本中学校と松本高等学校を経て、1927年に京都帝国大学の文学部歴史学科に入学しました。在学中には病気で2年間の休学を余儀なくされましたが、1933年には卒業論文『両税制度の一考察』を提出し卒業を果たしました。その後、大学院へ進学しました。

経歴

戦前の活動

卒業後の1933年から1943年5月まで、京都帝国大学の文学部副手として勤務しました。1937年には外務省の研究員として中華民国北平市（現在の北京市）に留学し、華中や華北、東北、蒙古などの歴史的遺跡を調査しました。特に、1942年から1944年にかけて山西省陽高県で進めた古墳の発掘調査は多くの関心を集めました。彼の研究は中国の美術や考古学の分野にも及び、戦後も華北交通株式会社の嘱託で東方文化学院北京出張所に在籍し、研究を続けました。

戦後の活動

帰国後は一時的に地元の学校で教職に就いたのち、1949年には奈良国立博物館の研究員となりました。この役職では学芸課工芸室長や考古室長といった重要な職務を歴任し、1964年からは学芸課長として博物館の発展に寄与しました。1962年には京都大学より文学博士の学位を取得し、1967年には奈良国立博物館を退職。その後、1980年まで龍谷大学文学部で東洋史学や博物館学の教育を担当し、多くの後進を指導しました。

彼の研究活動は、奈良女子大学、京都大学、関西大学などの多くの教育機関で博物館学や東洋文化史の講義を行い、学術界にも多大な影響を与えました。1988年、急性心不全により奈良市の自宅で亡くなるまで、彼は日本の歴史学において重要な存在であり続けました。

受賞歴

彼の業績は高く評価され、多くの賞を受賞しています。1959年には村田治郎らとの共同研究『居庸関』の成果が認められ、日本学士院賞を受賞しました。また、1976年には勲四等旭日小授章を授与されるなど、彼の学問への貢献は日本国内外で評価されています。さらに、1988年には没後に正五位に叙されました。

主な著作

小野勝年の著書には、以下のようなものがあります。

• - 『北支那に於ける古蹟古物の概況』（1941年、共著）
• - 『五台山』（1942年、共著）
• - 『高句麗の壁画』（1957年）
• - 『入唐求法巡礼行記の研究』（全4巻、1964年-1969年）
• - 新版『入唐求法巡礼行記の研究』（1989年、全4巻）
• - 『雪村友梅と画僧愚中』（1982年）
• - 『中国隋唐 長安・寺院資料集成』（1989年）

また、共著や編著の我著に『陽高古城堡　中国山西省陽高県古城堡漢墓』（1990年）などがあります。

彼の研究や著作は、東洋史の学問的発展に大きく寄与しており、その業績が後世に引き継がれています。小野勝年の遺した足跡は、日本の歴史研究において重要な位置を占めており、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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