小野鎮幸

小野鎮幸

小野鎮幸（おの しげゆき）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。立花氏、そして後に加藤氏の家臣として名を馳せました。「日本槍柱七本」の一人であり、立花四天王にも数えられるほどの勇将として知られています。また、和泉守の官位を持っていたことから、小野和泉とも呼ばれていました。旗印は日の丸、家紋は杏葉紋（追い掛け二つ銀葉）と井桁菊御紋を使用しました。

生涯

豊後国の大名大友氏の家臣、小野鑑幸の子として生まれました。由布惟信の推挙により、大友氏の重臣である立花道雪に仕えることとなります。鎮幸は生涯で大小22もの合戦に参加し、その過程で全身に刀や槍、矢、鉄砲による67ヶ所もの傷を負いながらも、数々の武功を立てました。その活躍は、大友氏と立花氏の両家から合計68枚もの感状を受けるほどでした。

立花家においては、由布惟信と共に道雪から孫子兵法の「奇正相生」に基づいた「奇」と「正」の両翼を担う「立花双翼」と称えられ、鎮幸は「奇」の将としてその役割を担いました。

天正12年（1584年）の沖田畷の戦いで龍造寺隆信が討ち死にした後、道雪は高橋紹運や朽網鑑康と共に筑後奪還のため戦いました。この戦いにおいて鎮幸は、道雪配下の備隊大将の一人として由布惟信らと共に数々の戦功を挙げました。

道雪の死後、立花家の跡を継いだ立花宗茂に仕え、天正14年（1586年）の島津軍との戦いでは、立花山城の籠城戦や高鳥居城攻めなどで両足に鉄砲傷を負いながらも、その武勇を示しました。天正15年（1587年）には、柳川城主となった宗茂から家中で最高の5千石の禄高を賜り、次席家老として蒲池城主を務めました。同年9月には肥後国人一揆の鎮圧にも従軍し、作戦前の入念な偵察や山伏・忍者の手配など、その深謀遠慮ぶりを発揮しました。

天正16年（1588年）5月27日には、柳川城の黒門にて、隈部一族との真剣勝負に殿として参加。文禄・慶長の役にも参戦し、武功を立てたことで豊臣秀吉から「一騎当千・日本槍柱七本」の筆頭として讃えられました。

江上・八院の戦い

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、石田三成率いる西軍への参加を主張し、大津城攻略に貢献しました。しかし、西軍が関ヶ原で敗北すると、加藤清正、鍋島直茂、黒田孝高（如水）らが柳川を攻める形勢となります。同年10月14日、鍋島勢32,000が二手に分かれて佐賀を進発すると、立花勢も迎撃のため八院方面へ出陣しました。しかし、宗茂は東軍の徳川家康への恭順を示すため城に残り、出陣したのは鎮幸を総大将とする約3,000でした。

10月20日、鍋島軍の先鋒部隊と鎮幸率いる立花軍が激突します（江上・八院の戦い）。立花勢は、先鋒の安東範久らが軍令の誤伝により独断で開戦し、次々と敵陣に突入する展開となりました。しかし、鍋島軍は立花勢を包囲殲滅する作戦を立てており、立花勢は多数の犠牲者を出す結果となります。鎮幸自身も銃創と矢傷を負いながらも奮戦しますが、立花成家の奇襲によって辛くも撤退に成功しました。

熊本藩士時代

立花家が改易された後、宗茂が加藤清正の預かりとなると、多くの立花家臣は清正に召抱えられ、鎮幸はそのまとめ役として肥後国に残りました。宗茂は各地を放浪する中、鎮幸は密かに資金を送り続けました。

慶長14年（1609年）6月23日、鎮幸は肥後にて64歳で生涯を閉じました。その後、宗茂が柳川城主に復帰すると、鎮幸の子孫は呼び戻され、代々大組組頭兼家老を世襲しました。

家臣

鎮幸には、以下の家臣たちがいました。

小野四天王
丹波左馬
帆足日向
中野大膳
大庭太郎右衛門
大原市内（鎮幸の影武者）

鎮幸は、その武勇と知略をもって戦国時代を駆け抜けた傑物でした。

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