尭恕法親王

堯恕法親王 (ぎょうじょほっしんのう)

堯恕法親王は、江戸時代前期の1640年（寛永17年）に後水尾天皇の第十皇子として誕生しました。母は園基音の娘である新広義門院園国子です。幼名は照宮、諱は完敏（さだとし）といい、体素、逸堂などの字や号も持っていました。

生涯

1647年（正保4年）に、堯然法親王の弟子として妙法院に入室し、僧侶としての道を歩み始めました。1650年（慶安3年）には親王宣下を受け、その後得度し、妙法院の門跡を相続しました。1663年（寛文3年）には一身阿闍梨、護持僧となり、同年10月には天台座主に任命されました。1665年（寛文5年）には二品に叙せられました。

1676年（延宝4年）に天台座主に還任しますが、半年ほどで辞任。その後1679年（延宝7年）には三たび天台座主に任命されるなど、天台宗の要職を歴任しました。1691年（元禄4年）には、寺内に鉄龍庵という隠居所を設けて移り住み、1693年（元禄6年）には座主職を甥の公弁[[法親王]]に譲り、隠居の勅許を得て、獅子吼院と号しました。1695年（元禄8年）に56歳で死去。危篤状態でも普段と変わらぬ筆致で遺偈を書き、自ら臨終の法要を執り行ったと伝えられています。葬儀は法住寺で執り行われました。

人物と業績

堯恕法親王は、天台教学の研究に深く取り組み、経典の講義にも力を注ぎました。『僧伝排韻』や『五部大乗経捷径録』など、多くの著作や編著を残しています。また、詩歌や連歌、書道、絵画、挿花など、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。漢詩集である『逸堂集』が残されているほか、特に絵画においては、狩野探幽から指導を受け、後水尾法皇の寿像を多く手がけたことで知られています。鳳林承章の日記によると、肖像画の顔の部分は堯恕法親王が描き、その他の部分を狩野探幽が描いたとされています。

1687年（貞享4年）に行われた東山天皇の再興大嘗祭に対して、内容が簡略化されすぎていることを「神を欺くもの」と批判したという記録も残っています。これは、彼が儀式や伝統を重んじる人物であったことを示唆しています。

日記

堯恕法親王は詳細な日記を残しており、『寛元録』または『逸堂座主日記』と呼ばれています。この日記は、1663年（寛文3年）から1695年（元禄8年）までの32年間、自筆で綴られており、当時の社会情勢や文化、彼の考えを知る上で貴重な資料となっています。この日記は、現在も妙法院に保存されています。

まとめ

堯恕法親王は、皇族でありながら僧侶として、また文化人として多方面で活躍し、その生涯を通じて仏教界、文化芸術界に大きな足跡を残しました。彼の残した日記や著作は、当時の社会や文化を研究する上で重要な資料となっています。

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