尾崎勇次郎

尾崎勇次郎

尾崎勇次郎は、1873年（明治6年）3月1日に生まれ、1956年（昭和31年）5月19日に亡くなった、日本の官僚、政治家、実業家です。旧姓は片山といい、兵庫県多紀郡篠山町（現在の丹波篠山市）で生まれました。幼少期に尾崎文七の養子となり、尾崎姓を名乗るようになりました。

学歴と官僚としてのキャリア

尾崎は第一高等学校を経て、1899年に東京帝国大学法科大学法律学科（英法）を卒業しました。同年、内務省に入省し、地方局に配属されました。同年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

その後、和歌山県参事官を皮切りに、宮城県参事官、福島県警察部長、香川県警察部長、樺太民政署事務官、同民政・事業部長、専売局主事、樺太庁内務部長、北海道庁内務部長など、多くの役職を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政に関する豊富な知識と経験を培いました。

県知事としての活躍

1921年9月、尾崎は青森県知事に就任しました。青森県知事時代には、郡制廃止に伴う郡道の県道編入や、関東大震災への救援活動に尽力しました。しかし、第2次山本内閣の成立により1923年10月25日に休職となりました。

1924年2月19日、清浦内閣によって台湾総督府警務局長に登用されましたが、同年10月2日に依願免本官となりました。

1927年5月、田中義一内閣により愛媛県知事に任命されました。愛媛県知事時代には、県会議員選挙や初の普通選挙となった第16回衆議院議員総選挙で選挙干渉を行い、政友会の勝利に貢献しました。尾崎自身も同総選挙に故郷の兵庫県第五区から出馬しましたが、斎藤隆夫に敗れました。愛媛県では、土木事業の推進や金融恐慌への対応に尽力しました。

1928年5月には新潟県知事に転任しましたが、1929年7月5日に依願免本官となりました。1931年12月には犬養内閣により愛知県知事に任命されましたが、五・一五事件で内閣が替わると、1932年6月28日に知事を休職しました。

実業家としての転身

官僚を退いた後、尾崎は実業界に転身し、東京運河土地株式会社の社長を務めました。

政治活動

尾崎は政友会系の政治家として活動し、選挙にも深く関わりました。愛媛県知事時代には、選挙干渉を行い、政友会の勝利に貢献しました。自らも衆議院議員選挙に出馬しましたが、落選しました。

まとめ

尾崎勇次郎は、内務官僚として地方行政に貢献し、複数の県知事を歴任しました。また、政治家としても活動し、政友会の勢力拡大に尽力しました。退官後は実業家として新たな道を歩み、多岐にわたる分野で活躍しました。彼の人生は、明治から昭和にかけての激動の時代を象徴するものといえるでしょう。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
愛媛県史編さん委員会編『愛媛県史 人物』愛媛県、1989年。
松井拳堂『丹波人物志』「丹波人物志」「増訂丹波史年表」刊行会、1960年。

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