屋島登山鉄道屋島ケーブル
かつて香川県高松市の象徴的な存在であった屋島には、その山頂へ向かうための「屋島ケーブル」と呼ばれるケーブルカー路線が運行されていました。これは屋島登山鉄道が運営していた路線で、正式な路線名は設けられていませんでしたが、通称として広く親しまれていました。
このケーブルカーは、観光地である屋島山頂への主要な交通手段として機能しており、四国八十八箇所霊場の第八十四番札所である屋島寺や、風光明媚な景勝地として知られる獅子の霊巌などへ向かう多くの人々に利用されていました。
ケーブルカーの建設計画は1926年に始まります。しかし、その実現には地域住民からの反対もありました。風致景観の破壊や生活への影響を懸念する声が上がったのです。それでも、屋島ドライブウェイが開通する1961年以前は、徒歩で1時間ほどかかる道のりをわずか5分で結ぶ唯一の動力登山手段であったため、開業後は多くの利用客で賑わいました。
路線の基本的なデータとしては、営業キロ程が0.8キロメートル（実距離は0.858キロメートル）、軌間は1067ミリメートルで、屋島登山口駅と屋島山上駅の二つの駅を持っていました。標高差は265メートルにも及び、最急勾配は447パーミルと、かなりの急勾配路線でした。運行速度は約9キロメートル毎時で、定員は121名でした。
運行形態は、山上駅と山麓駅の車両が同時に発車する方式で、日中はおおむね20分間隔で運行され、所要時間は約5分でした。営業時間はシーズンによって異なり、観光客の利用が多い時期は早朝から夕方まで比較的長い時間運行されていました。2003年度には約5万5千人が利用した記録が残っています。
車両は、1950年の営業再開に合わせて日立製作所で製造された2両が使用されていました。それぞれ「義経号」と「辨慶号」という愛称が付けられており、車体は白地に赤帯という塗装が特徴でした。
屋島ケーブルの歴史は、1926年に鉄道免許状が下付されたことに始まります。当初は地上を走る平坦線も計画されていましたが、実現したのはケーブルカー部分のみでした。1927年に屋島登山鉄道株式会社が設立され、1929年4月21日に開業を迎えます。しかし、太平洋戦争中の1944年2月11日には不要不急線として休止され、資材が供出されました。
戦後の1950年4月16日には営業を再開し、この際に駅名も現在の屋島登山口駅と屋島山上駅に改称されました。その後も長らく屋島へのアクセスを支え続けましたが、屋島観光の衰退と共に利用客は減少の一途をたどります。
2004年10月12日、運営会社である屋島登山鉄道は高松地方裁判所に自己破産を申請し、負債総額は約9億円に上りました。主な原因は、利用客の減少による収支悪化と資金繰りの困難でしたが、背景には親会社であった高松琴平電気鉄道（ことでん）の経営破綻によるグループ支援の停止があったとされています。会社の破産申請に伴い、ケーブルカー事業も2004年10月16日から運行休止となりました。
その後、当初は2006年7月1日を予定していた事業廃止日を大幅に繰り上げ、2005年8月31日をもって正式に廃止されました。運営会社は施設の譲渡先を探すなど存続の道を模索しましたが、施設の老朽化が大きな障害となり、実現しませんでした。運行最終日となった2004年10月15日には、多くのファンや観光客が詰めかけましたが、試運転中に電気系統のトラブルが発生し、終日運休するという残念な形で幕を閉じることとなりました。
屋島ケーブル廃止後、山頂へのアクセスは代替交通手段が整備されました。当初は乗合タクシーによる代行輸送が行われていましたが、後にことでんバスによるシャトルバス運行が開始され、現在ではJR屋島駅からも利用できるようになっています。これにより、屋島への公共交通機関によるアクセスは維持されています。
廃止後、ケーブルカー車両の再開を求める署名活動なども行われましたが、実現には至っていません。高松市が策定した屋島活性化の方針においても、ケーブルカーとしての復活ではなく、跡地を遊歩道として整備することが検討されています。
かつての屋島登山口駅舎は2014年から2015年頃に解体され、跡地には地元の自治会館が建設されましたが、ホーム部分は残されており、使用されていた2両の車両（義経号、辨慶号）が現在もそこに留置されています。車両は劣化が進んでいましたが、2015年には錆落としと緑色への再塗装が行われ、その姿を保っています。
屋島ケーブルは、開業から廃止まで約76年間にわたり、屋島観光を支え続けた重要な交通インフラでした。現在はその役目を終えましたが、残された車両やホームが、屋島の歴史と共に歩んだケーブルカーの存在を今に伝えています。最寄り駅はことでん琴電屋島駅（徒歩約5分）やJR屋島駅（徒歩約10分）でした。
このケーブルカーは、観光地である屋島山頂への主要な交通手段として機能しており、四国八十八箇所霊場の第八十四番札所である屋島寺や、風光明媚な景勝地として知られる獅子の霊巌などへ向かう多くの人々に利用されていました。
ケーブルカーの建設計画は1926年に始まります。しかし、その実現には地域住民からの反対もありました。風致景観の破壊や生活への影響を懸念する声が上がったのです。それでも、屋島ドライブウェイが開通する1961年以前は、徒歩で1時間ほどかかる道のりをわずか5分で結ぶ唯一の動力登山手段であったため、開業後は多くの利用客で賑わいました。
路線の基本的なデータとしては、営業キロ程が0.8キロメートル（実距離は0.858キロメートル）、軌間は1067ミリメートルで、屋島登山口駅と屋島山上駅の二つの駅を持っていました。標高差は265メートルにも及び、最急勾配は447パーミルと、かなりの急勾配路線でした。運行速度は約9キロメートル毎時で、定員は121名でした。
運行形態は、山上駅と山麓駅の車両が同時に発車する方式で、日中はおおむね20分間隔で運行され、所要時間は約5分でした。営業時間はシーズンによって異なり、観光客の利用が多い時期は早朝から夕方まで比較的長い時間運行されていました。2003年度には約5万5千人が利用した記録が残っています。
車両は、1950年の営業再開に合わせて日立製作所で製造された2両が使用されていました。それぞれ「義経号」と「辨慶号」という愛称が付けられており、車体は白地に赤帯という塗装が特徴でした。
屋島ケーブルの歴史は、1926年に鉄道免許状が下付されたことに始まります。当初は地上を走る平坦線も計画されていましたが、実現したのはケーブルカー部分のみでした。1927年に屋島登山鉄道株式会社が設立され、1929年4月21日に開業を迎えます。しかし、太平洋戦争中の1944年2月11日には不要不急線として休止され、資材が供出されました。
戦後の1950年4月16日には営業を再開し、この際に駅名も現在の屋島登山口駅と屋島山上駅に改称されました。その後も長らく屋島へのアクセスを支え続けましたが、屋島観光の衰退と共に利用客は減少の一途をたどります。
2004年10月12日、運営会社である屋島登山鉄道は高松地方裁判所に自己破産を申請し、負債総額は約9億円に上りました。主な原因は、利用客の減少による収支悪化と資金繰りの困難でしたが、背景には親会社であった高松琴平電気鉄道（ことでん）の経営破綻によるグループ支援の停止があったとされています。会社の破産申請に伴い、ケーブルカー事業も2004年10月16日から運行休止となりました。
その後、当初は2006年7月1日を予定していた事業廃止日を大幅に繰り上げ、2005年8月31日をもって正式に廃止されました。運営会社は施設の譲渡先を探すなど存続の道を模索しましたが、施設の老朽化が大きな障害となり、実現しませんでした。運行最終日となった2004年10月15日には、多くのファンや観光客が詰めかけましたが、試運転中に電気系統のトラブルが発生し、終日運休するという残念な形で幕を閉じることとなりました。
屋島ケーブル廃止後、山頂へのアクセスは代替交通手段が整備されました。当初は乗合タクシーによる代行輸送が行われていましたが、後にことでんバスによるシャトルバス運行が開始され、現在ではJR屋島駅からも利用できるようになっています。これにより、屋島への公共交通機関によるアクセスは維持されています。
廃止後、ケーブルカー車両の再開を求める署名活動なども行われましたが、実現には至っていません。高松市が策定した屋島活性化の方針においても、ケーブルカーとしての復活ではなく、跡地を遊歩道として整備することが検討されています。
かつての屋島登山口駅舎は2014年から2015年頃に解体され、跡地には地元の自治会館が建設されましたが、ホーム部分は残されており、使用されていた2両の車両（義経号、辨慶号）が現在もそこに留置されています。車両は劣化が進んでいましたが、2015年には錆落としと緑色への再塗装が行われ、その姿を保っています。
屋島ケーブルは、開業から廃止まで約76年間にわたり、屋島観光を支え続けた重要な交通インフラでした。現在はその役目を終えましたが、残された車両やホームが、屋島の歴史と共に歩んだケーブルカーの存在を今に伝えています。最寄り駅はことでん琴電屋島駅（徒歩約5分）やJR屋島駅（徒歩約10分）でした。
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