屋島寺

屋島寺：歴史と自然が織りなす四国霊場

香川県高松市屋島東町、屋島南嶺山上に位置する屋島寺は、真言宗御室派に属する寺院であり、四国八十八箇所霊場の第八十四番札所として知られています。南面山、千光院という別名を持ち、本尊は慈悲深い千手観音菩薩です。

悠久の歴史：鑑真から空海へ

屋島寺の創建は、天平勝宝6年（754年）に遡ると伝えられています。中国から日本へ仏教を伝えた高僧・鑑真和上が、朝廷に招かれる途中に当地を訪れ、開創したとされています。その後、鑑真の弟子である恵雲が伽藍を建立し、屋島寺と名付けられました。

しかし、現在の寺の位置は当初とは異なります。弘仁6年（815年）、空海（弘法大師）が嵯峨天皇の勅願を受け、北嶺山にあったお堂を南嶺山に移し、千手観音像を安置したのです。これは、古代山城・屋嶋城の閉鎖に伴い、その跡地に寺院を創建したためと考えられています。

その後も、天暦年間（947年～957年）には明達が四天王像と、現在の本尊である十一面千手観音坐像を安置するなど、数々の歴史が刻まれてきました。明徳2年（1391年）の西大寺末寺帳にも屋島寺の名前が確認されており、当時、奈良の西大寺（真言律宗）の末寺であったことがわかります。江戸時代には高松藩の保護を受け、現在も国有林を除く屋島山上のほとんどの土地を所有しています。

江戸時代初期には島であった屋島でしたが、寛永14年（1637年）に陸続きとなり、その後、正保4年（1647年）に再び水路が復元されました。

見どころ：歴史と自然が融合

屋島寺には、歴史を感じさせる数多くの建造物と、自然の景観が広がっています。仁王門を潜り、四天王像が安置された四天門を通ると、本堂へと至ります。本堂は、鎌倉時代の前身堂の部材を用いて元和4年（1618年）に建立され、重要文化財に指定されています。宝物館には、本尊である千手観音坐像をはじめ、多くの貴重な仏像が安置されています（有料）。

大師堂、三体堂（鑑真和上が祀られている）、千体堂など、様々な堂宇があり、それぞれに歴史と信仰が息づいています。また、屋島太三郎狸を祭神とする蓑山大明神や屋島稲荷など、ユニークな社も存在します。

境内には、弘法大師にまつわる伝説が残る瑠璃宝の池（血の池）、高松藩士によって植えられた可正桜、源平合戦の戦没者を弔う供養碑、芭蕉の句碑など、見どころが満載です。宝物館から眺めることができる「雪の庭」と呼ばれる庭園も、白い凝灰岩の露出が美しい景観を作り出しています。

アクセスと周辺情報

屋島寺へは、琴電志度線潟元駅からバス、またはJR屋島駅、琴電屋島駅から屋島山上行きのシャトルバスを利用できます。車の場合は、屋島スカイウェイを利用できますが、山上の駐車場は有料です。徒歩での遍路道もあり、加持水、不喰梨、畳石といった霊跡も点在しています。

周辺には、高野山讃岐別院や観賢僧正廟・弘法大師剃刀塚などの霊場も存在します。高野山讃岐別院は宿泊も可能です。

屋島寺は、歴史的建造物、貴重な仏像、美しい自然、そして様々な伝説が織りなす、魅力あふれる霊場です。四国遍路の旅はもちろん、歴史や自然を愛する人々にとっても、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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