山下町第一洞穴遺跡

山下町第一洞穴遺跡について

山下町第一洞穴遺跡は、沖縄県那覇市に所在する旧石器時代の重要な遺跡で、1962年に偶然発見されました。この洞穴からは、日本列島で最古とされる人骨や古代の石器が出土しており、考古学的に非常に価値のある場所となっています。1969年には沖縄県の指定史跡に認定され、保護されることとなりました。

遺跡の位置と地形

この遺跡は、那覇市山下町167番地に位置します。周辺は公園に整備されており、訪れる人々が遺跡の周囲を散策できる環境が整っています。沖縄本島南部は、島尻層群と呼ばれる新しい地層を基盤にし、その上に琉球石灰岩が広がる地勢です。この地域の地形には、那覇港南岸の丘陵があり、その中腹に山下町第一洞穴があります。

洞窟の開口部は南北に約1.2メートル、奥行きが5.5メートル、高さは3.2メートルに及び、魅力的な地質学的特徴を備えています。

発見のいきさつ

この遺跡の発見は、アメリカの施政権下で行われた神事中に、コザ市在住の比嘉初子氏が洞窟からシカの化石骨を発掘したことから始まりました。彼女の発見は琉球政府文化財保護委員会に報告され、調査が行われる運びとなりました。発掘調査では、加工された骨が見つかり、その後の発掘へと繋がりました。

調査の経緯

山下町第一洞穴についての最初の調査は1962年に行われ、琉球政府文化財保護委員会が主導しました。調査は、沖縄大学の学生を含む10名余りのチームによって行われ、その後も1968年に東京大学の調査団が続けて調査を行っています。

出土物

最初の調査では、約3万2000年前とされる木炭層から石器が3点出土しました。これらの石器は、洞穴内に自然に存在するものではなく、他の場所から運ばれた材料で作られています。石器の表面には、人間による打痕や磨耗痕が見られ、製品としての人工性が確認されています。

また、1968年の第2次発掘調査では、人骨の化石も発見され、特に脛骨、大腿骨、腓骨の3点が出土しました。人骨と石器が同じ層から見つかったことで、この遺跡は日本列島、特に南西諸島において重要な文化的な証拠となりました。出土された遺物は、当時の人々の生活や文化を知る貴重な手がかりとなっています。

まとめ

山下町第一洞穴遺跡は、その歴史的および考古学的な意義から、沖縄の文化を理解するうえで欠かせない場所です。今後もこの遺跡の調査が続けられ、多くの新しい発見が期待されています。公園として整備された周辺環境も含め、何世代にもわたって人々の関心が寄せられることでしょう。

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