山口きらら博

山口きらら博：地方博覧会の成功例

山口きらら博は、2001年7月14日から9月30日までの79日間、山口県吉敷郡阿知須町（現在の山口市）のきらら浜で開催された地方博覧会です。正式名称は「21世紀未来博覧会」ですが、一般的には「きらら博」という愛称で親しまれました。

博覧会の概要

「いのち燦（きら）めく未来へ」をテーマに掲げ、会場は街、山口、スポーツ、ゲート、テーマ、ラグーン、アミューズメントの各ゾーンに区分され、来場者にとって分かりやすい構成となっていました。特に注目されたのは、きららドームで催された山本寛斎プロデュースのパフォーマンスイベント「やまぐち元気伝説」で、平日2回、土日祝日は3回公演され、多くの観客を魅了しました。

開会式の模様はNHK衛星放送で全国に生中継され、県内メディアも積極的に情報発信しました。民放テレビ3局全てが情報カメラを設置した他、山口放送はラジオのサテライトスタジオを設け、テレビ山口、山口朝日放送も会場から番組を放送しました。また、イベントFM局として「エフエムきらら」が開局し、博覧会期間中の情報発信を担いました。県内関連企業では、マツダ、宇部興産、トクヤマ、山口銀行、松下グループ、日立グループ、東ソー、ブリヂストンなどがパビリオンを出展しました。中でも、山口銀行のパビリオン「カラクリドリームシアター」は、ジャパンエキスポ大賞（日本イベント産業振興協会主催）を受賞し、高い評価を得ました。

博覧会の成果

2001年は、北九州博覧祭2001（福岡県北九州市）やうつくしま未来博（福島県須賀川市）と同時期に開催され、地方博覧会が3つ重複するという状況でした。特に、北九州博覧祭とは開催期間や集客範囲が競合し、立地条件の不利も指摘されていましたが、ボランティアスタッフを含む県民の協力により、総入場者数は79日間で251万4178人に達しました。これは、当時の山口県の人口（約150万人）を大きく上回る数字であり、北九州博覧祭の入場者数（124日間で215万8465人）と比較しても遜色のない結果でした。

また、きらら博ではゴミの分別を徹底し、期間中の排出量を約1トンに抑えるという成果も上げました。当初の目標入場者数200万人を大幅に超えたこともあり、博覧会自体は大成功と言えるでしょう。

一方で、博覧会前に整備された山口宇部道路と山陽自動車道宇部下関線の利用状況が低迷していること、博覧会跡地を含む阿知須干拓地の利用計画が十分に策定されていないことなど、課題も残っています。これらの点は、博覧会の成果を多角的に評価する上で議論の余地があると言えるでしょう。

博覧会後の展開

博覧会跡地は一部施設を活用・再整備され、山口県立きららスポーツ交流公園として開園しました。その後、同公園は都市公園に移行し、現在は山口きらら博記念公園として親しまれています。会場に設置されていた大観覧車は、福島県郡山市の商業施設に移設され「ビッグルーレット」として営業していましたが、老朽化のため2017年に営業を終了しました。

「きらら」の名称を冠した施設・団体

博覧会終了後も、「きらら」という名称は山口県内の様々な施設や団体の名称として使用されています。

• - エフエムきらら：博覧会のイベントFM局として開設され、後にコミュニティFM局として運営されています。
• - きららオーガニックライフ：美祢市にある観光農園です。
• - きららガラス未来館：山陽小野田市にある生涯学習施設で、ガラス作品の展示や体験ができます。
• - きらら交流館：山陽小野田市にある交流・研修施設です。
• - きらら山口：山口県が発行していた県外広報誌です。
• - きらら山口ファイティングスターズ：6人制バレーボールチームです。
• - 道の駅きらら あじす：きらら浜内にある道の駅です。
• - 山口きららマウントG：防府市の社会人野球クラブチームです。
• - ラウンジ「きらら」：山口宇部空港内のラウンジです。
• - 消防防災ヘリ「きらら」：山口県が所有する消防防災ヘリコプターです。
• - きららシニア山口：山口県老人クラブ連合会の愛称です。
• - やまぐちきらら牛乳：やまぐち県酪乳業が製造販売する牛乳です。

公式キャラクター

博覧会の公式キャラクターとして、モジャピー、ウルリン、ドンガ、ダンチャ、アコポコの5人組「山口きららバンド」が採用されました。全国公募により5,925点の中から選ばれました。また、2006年の山口県国民文化祭でも公式キャラクターとして使用されました。

その他の情報

• - テーマ曲は西田ひかるが歌いました。
• - 笑点が、山口放送開局45周年記念企画として、きららドームから公開収録を実施しました。
• - 錦川鉄道は、会場で使用されたタイヤ付き遊覧車を譲り受け、後に愛・地球博の車両に変更して運行しました。

山口きらら博は、県民一体となって作り上げた地方博覧会として、その後の地域活性化や観光振興にも貢献したと言えるでしょう。

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