山口修 (美術デザイナー)

山口 修（やまぐち しゅう）

1946年、長野県松本市に生を受けた山口修は、日本の映像界において美術監督およびデザイナーとして多大な貢献をしてきた人物です。

彼のキャリアの出発点は、円谷プロダクションでした。特撮テレビシリーズの金字塔『ウルトラセブン』で美術助手としてアルバイトを経験したことから、この道へと足を踏み入れます。その後、美術スタッフとして円谷プロ制作のミステリードラマ『怪奇大作戦』や、ヒーロー番組『ファイヤーマン』に参加。さらに、宣弘社が手掛けた『シルバー仮面』や、時代劇制作で知られる三船プロダクションの作品など、ジャンルを超えた現場で経験を積み重ねました。特に、円谷プロの著名な美術スタッフであった池谷仙克氏から指導を受けたことは、彼の技術と感性を磨く上で大きな財産となったと言えるでしょう。

特撮美術の世界で着実に実績を重ねた山口氏は、『スターウルフ』や『恐竜大戦争アイゼンボーグ』といったSF・特撮作品に携わります。そして、1980年に放送が開始された『ウルトラマン80』では、作品全体の美術デザインを統括する重要な役割を担いました。ここでは、主役ヒーローであるウルトラマン80自身のデザインから、防衛チームUGMの隊員服やメカニック、基地、そして番組を彩る数多くの怪獣たちのデザインまで、その創造力をいっぱいに発揮しました。彼が生み出した怪獣の中には、月の輪怪獣クレッセント、だだっこ怪獣ザンドリアス、オイル怪獣ガビシェール、再生怪獣サラマンドラなど、『ウルトラマン80』を象徴する存在が数多く含まれています。また、『ザ☆ウルトラマン』でも象怪獣ファンダスや翼竜怪獣クワァイラスなどのデザインを手掛けています。余談ですが、山口氏と同じく長野県松本市出身で、円谷プロ作品の美術デザイナーとして活躍した井口昭彦氏（『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA』など）とは、松本深志高等学校の先輩・後輩にあたる関係だそうです。この事実は、2014年に松本市で行われた井口氏のイベントで明かされました。

円谷プロダクションでの特撮美術の経験を経て、山口修氏は活動の場を映画美術へと広げます。映画美術監督としては、数々の邦画作品でその手腕を発揮しています。特に、行定勲監督作品とは縁が深く、『世界の中心で、愛をさけぶ』（2004年）、『春の雪』（2005年）、『ショコラの見た世界』（2007年）、『今度は愛妻家』（2010年）などで美術を担当しました。その他にも、清水崇監督のホラー映画『輪廻』（2006年）、市川準監督の『あおげば尊し』（2006年）、君塚良一監督の社会派ドラマ『誰も守ってくれない』（2009年）や『遺体 明日への十日間|遺体_明日への十日間』（2013年）、小泉徳宏監督の『FLOWERS -フラワーズ-』（2010年）など、多岐にわたるジャンルと監督の作品で世界観を構築する役割を担っています。

特撮作品で培った斬新な発想と、映画において求められる現実感や美術的な深みを融合させる彼のスタイルは、多くの映像作品に不可欠な彩りを与えています。デザイナーとしてユニークなキャラクターやメカニックを生み出し、美術監督として物語の背景となる空間を創り出すことで、山口修氏は日本の映像表現の豊かさに貢献し続けています。

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