山口素臣

陸軍大将 山口素臣：戦場の将星

山口素臣(やまぐち もとおみ、1846年6月8日-1904年8月7日)は、明治時代の陸軍軍人であり、その輝かしい経歴と数々の戦場での活躍から「戦将中の戦将」と称えられた人物です。最終階級は陸軍大将に上り詰め、正三位勲一等功二級子爵に叙せられました。

山口は、山口藩士・山本芳の息子として萩に生まれ、後に山口義惟の養子となりました。戊辰戦争では奇兵隊嚮導役として北陸、奥羽を転戦し、激戦を潜り抜けました。維新後、陸軍に入隊し、着実にキャリアを積み重ねていきます。

明治3年(1870年)9月、大阪陸軍教導団第2教導隊に入隊。その後、軍曹から少尉、中尉、大尉と短期間で昇進し、明治6年(1873年)10月には少佐に昇進しました。明治10年(1877年)には、近衛歩兵第1連隊第1大隊長として佐賀の乱に参加。続く西南戦争では、田原坂の戦いで薩軍右翼を攻撃するも、激しい逆襲を受け、苦戦を強いられました。当時の近衛連隊は大隊2個編成で、4名の大隊長がいましたが、山口以外の3名は全員戦死するという激戦だったのです。

西南戦争後も、山口の活躍は続きます。歩兵第9連隊長、歩兵第7連隊長を歴任し、明治15年(1882年)2月には陸軍大佐に昇進。熊本鎮台参謀長、東京鎮台参謀長、近衛参謀長と要職を歴任し、明治20年(1887年)からは約1年間、欧米を視察しました。

明治22年(1889年)9月には、歩兵第10旅団長心得に就任。翌年には少将に昇進し、正式に歩兵第10旅団長となります。そして、明治27年(1894年)から勃発した日清戦争では、第2師団隷下歩兵第3旅団長として出征。山東半島への上陸作戦に参加し、威海衛の戦いでは右翼隊を指揮しました。この功績により、明治28年(1895年)8月には男爵を授爵され、さらに明治29年(1896年)10月には中将に昇進、第5師団長に就任します。

明治33年(1900年)には、義和団事件（北清事変）に出征し、その戦功により勲一等旭日大綬章、功二級金鵄勲章を受章しました。そして、明治37年(1904年)3月、ついに陸軍大将に昇進し、軍事参議官に任命されます。しかしながら、同年8月、その生涯を閉じました。子爵位は追贈され、東京都港区青山霊園に眠っています。

山口素臣は、数々の戦場でその勇猛果敢な戦いぶりを見せ、部下からの信頼も厚かったと伝えられています。日清戦争の旅順上陸時のエピソードでは、吐瀉病が流行した野戦病院を訪れ、兵士を励ました逸話は有名です。また、威海衛の戦いで、砲撃の際に傍らにいたアメリカ人記者を身を挺して救助したエピソードは、その冷静さと人道的な一面を物語っています。

山口家には、妻・きちは十二世有馬屋清右衛門の二女、森清右衛門の姉という名家出身の女性でした。養嗣子の山口十八は、子爵を襲爵し、後に陸軍少将として歩兵第11旅団長、近衛歩兵第1旅団長などを歴任しています。

山口素臣の生涯は、激動の時代を生き抜いた軍人としての輝かしい功績だけでなく、人となりも垣間見れる貴重な記録として、後世に語り継がれるべきものです。彼の勇気と献身は、日本の近代史に大きな足跡を残しました。

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