山名義路

山名義路：最後の藩主から陸軍軍人、そして貴族院議員へ

山名義路は、但馬国村岡藩の第2代にして最後の藩主として知られています。従五位下・因幡守に叙せられ、後に正三位に昇進。華族令によって男爵の位を授かりました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた武士、軍人、そして政治家の物語と言えるでしょう。

1860年、初代藩主山名義済の嫡男として誕生した山名義路は、1871年、父の隠居に伴い家督を相続し、村岡藩知藩事となります。しかし、同年、廃藩置県によりその地位を失い、翌年には東京に移住しました。

維新後の山名義路は、軍人としての道を歩み始めます。陸軍教導団歩兵科を卒業後、広島鎮台陸軍歩兵伍長に任官。その後、陸軍士官学校を卒業（旧9期）し、歩兵少尉に任官、歩兵第5連隊小隊長に抜擢されます。その後、輜重兵少佐に昇進し、第4旅管軍法会議判士、輜重兵第3大隊中隊長、第1師団衛生予備廠長など要職を歴任しました。明治27・28年従軍記章を受章した記録も残されています。

軍人としてのキャリアと並行して、山名義路は政治の世界にも進出します。1911年、貴族院男爵議員に就任。貴族院議員としての活動は1916年まで続き、その後辞任しています。

彼の家族構成も興味深い点です。父は初代藩主の山名義済、母は信濃国須坂藩主堀直格の娘である縁子です。姉妹には、誠照寺第26世法主二條秀源上人の夫人となった快子、悦子、垣屋問察の養女となった忻子などがいます。妻は佐藤信有の娘であるトヨです。

嫡男は山名義鶴で、社会運動家として知られています。その他、操子（諫川正井の夫人）、義亀（叔母・垣屋忻子の養子）、緑（益本利民の夫人）などの子供や養子がいました。

1940年、81歳で生涯を閉じました。山名義路の生涯は、藩主から軍人、政治家へと転身し、激動の時代を生き抜いた稀有な人物像を示しています。彼の経験と功績は、日本の近代史を理解する上で重要な要素となるでしょう。

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。

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