山岡勝人

山岡勝人（やまおか かつと）は、1908年（明治41年）11月14日に長野県諏訪郡平野村（現在の岡谷市）湊で生まれ、1998年（平成10年）10月12日に91歳で亡くなった、昭和時代に活躍した詩人、小説家、作詞家、劇作家です。

旧制松本商業学校を卒業後、諏訪地域の小学校で教員を務める傍ら、伊藤松雄が主宰する「町の劇場」運動に積極的に参加しました。1930年代後半からは、文芸グループ「諏訪文学」に所属し、小説執筆に力を注ぎました。また、「山岡羊村」などの別名を用いて懸賞歌謡に応募し、1941年（昭和16年）には大政翼賛会が制定した「大政翼賛の歌」で入選を果たしました。この頃から作詞家としての活動も本格化させます。

戦後は、地域活動に軸足を移し、校歌や婦人会歌、音頭の作詞、新聞小説の連載など、幅広い分野で活躍しました。1969年（昭和44年）には小説『天竜川』を発表、1978年（昭和53年）には『山岡勝人作品集』全2巻を刊行し、作家としての足跡を刻みました。晩年は、生まれ故郷である岡谷市で旅行愛好家グループの世話役を務め、地域文化の発展に貢献しました。

山岡勝人の作品は、彼の多才な才能を示すと同時に、昭和という激動の時代を背景に、人々の生活や感情を豊かに表現したものが多くあります。彼の作品は、地域文化の発展に貢献しただけでなく、日本の文学や音楽の歴史においても、重要な役割を果たしています。

主な作品

著書
『天竜川』（甲陽書房、1969年）
『山岡勝人作品集』第1巻/第2巻（甲陽書房、1978年）

作詞
「大政翼賛の歌」（作曲：鷹司平通）
「佐久高原メロディー」（作曲：大村能章）
「岡谷市立岡谷東部中学校校歌」（作曲：鵜飼貞方）
「岡谷市立岡谷南部中学校校歌」（補作：尾崎喜八、作曲：保坂泰正）

山岡羊村名義での作詞
「街の辻馬車」（作曲：小泉幸雄）
「旅の隊商」（作曲：杉田良造）
「白樺の丘」（作曲：飯田景応）
「ジプシー娘」（作曲：飯田景応）
「僕のパパさん」（作曲：米山正夫）
「興安吹雪」（作曲：鈴木哲夫）
「南海軍の歌」（作曲者不詳）
日本職業野球連盟の南海軍（現在の福岡ソフトバンクホークス）初代球団歌。1939年発行の『職業野球便覧』に歌詞が掲載されているが、作曲者は不明。
「清陵讃歌」（作曲：酒井利夫）
長野県諏訪清陵高等学校・附属中学校で、校歌とは別に歌われている讃歌。

参考文献
『著作権者名簿』昭和35年版（著作権資料研究協会、1960年）
* 岡谷市 編『岡谷市史』下巻（岡谷市役所、1982年）

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