山村長太夫 (5代目)

五代目 山村長太夫の生涯

五代目 山村長太夫（1688年 - 18世紀）は、江戸時代に活躍した歌舞伎の座元、つまり劇場経営者であり、自らも舞台に立つ役者でした。彼は、江戸・木挽町五丁目（現在の東京都中央区銀座5丁目）にあった「山村座」の最後の経営者として、その名を知られています。また、歴史的な事件である「江島生島事件」に連座した人物としても知られています。

襲名前には山村七十郎、または山村三郎兵衛という名も用いていたとされます。彼の出自については、三代目山村長太夫の実子であるとも、養子であるとも伝えられており、正確なところは不明です。父とされる三代目は、山村座の創設者である初代山村長太夫の甥で、初代の子である二代目山村長太夫の養子でした。四代目山村長太夫は、五代目にとっては兄にあたりますが、父にとっては養子にあたります。五代目は襲名前には山村七十郎と名乗っていましたが、これは父の養子入り前の名である岡村七十郎と同一の名前です。

1697年頃、9歳という幼さで五代目長太夫を襲名し、山村座の座元を継承しました。この時、四代目は隠居し、剃髪して浄閑と改名しています。山村座は、この元禄期に中村座、市村座、森田座とともに、官許を得た劇場として名を連ねました。五代目の時代には、1700年に『頼政万年暦』、1701年には『けいせい三鱗形』といった演目が山村座で初めて上演されました。また、1713年には二代目市川團十郎が助六を演じた『花館愛護桜』もこの劇場で初演されています。

しかし、1714年、五代目の運命は大きく変わります。彼が10年契約で買い切った人気役者、生島新五郎らが起こした「絵島生島事件」に連座し、伊豆大島への遠島（流罪）を宣告されるのです。この事件により、山村座は廃絶処分となり、1642年の創設から72年続いた歴史に幕を閉じました。これにより、江戸四座は江戸三座となります。

28年後の1742年、五代目は遠島処分を解かれて江戸に戻りますが、既に54歳という年齢になっていました。この時、同じく三宅島に流されていた生島新五郎も江戸に戻りますが、翌1743年に亡くなっています。五代目山村長太夫の正確な没年は不明ですが、18世紀には亡くなったとされています。

五代目 山村長太夫を演じた俳優たち

五代目山村長太夫は、映画やテレビドラマの中で、数々の俳優によって演じられてきました。以下にその一部を紹介します。

香川良介 - 映画『絵島生島』（1955年）
野口元夫 - テレビドラマ『男は度胸』（1970年 - 1971年）
中村錦司 - テレビドラマ『大奥』（1983年 - 1984年）
平泉成 - 映画『大奥』（2006年）
石橋蓮司 - テレビドラマ『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』（2007年）
西山清孝 - テレビドラマ『徳川風雲録 八代将軍吉宗』（2008年）

これらの作品を通じて、五代目山村長太夫の人物像や彼が生きた時代の一端を垣間見ることができます。

参考文献

『近世芸能興行史の研究』、守屋毅、弘文堂、1985年
『おんな今も昔も史 - お市の方から与謝野晶子まで』、泉秀樹、PHP文庫、PHP研究所、1992年

関連事項

山村座
山村長太夫
江島生島事件
江戸三座

外部リンク

山村長太夫 5代 - jlogos.com
デジタル版 日本人名大辞典+Plus『山村長太夫(5代)』 - コトバンク

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