山路諧孝

山路諧孝の生涯

山路諧孝（やまじ ゆきたか）は、江戸時代後期に活躍した天文学者であり、江戸幕府の天文方として重要な役割を果たしました。彼は1777年に生まれ、1861年までの間、科学技術の分野で多くの業績を残しました。彼の父は山路徳風で、家系も天文研究に深い関わりを持っていました。通称は弥左衛門です。

幼少期と天文方への道

諧孝は文化6年（1809年）に暦作測量の御用手伝いとして任命され、その翌年には父の後を継ぎ、正式に天文方となった。この頃から彼の運命は、天文学の発展と深く結びつくことになりました。文政12年（1829年）には、高橋景保がシーボルト事件により失脚した際、その役割を引き継ぎ、蕃書和解に従事することとなりました。これは、天文方の中での彼の地位を一層強固にする出来事でもありました。

科学技術への貢献

天保8年（1837年）、諧孝は寒暖計を製作し、幕府に献上したことでその功績が認められました。翌年、彼はオランダの天文学者ペイポ・ステインストラの著書『天文学の原理』の翻訳を完成させます。これには9年という長い時間がかかりましたが、彼の日本における天文学の普及に寄与する重要な業績となりました。このように、諧孝は外国の天文学の知識を日本に紹介する役割も果たしました。

継承と晩年

弘化3年（1846年）には、彼の嫡男、彰常が天文方に任命され、親子二代での天文方の地位が確立されました。山路家はこの期間中、天文方の職務を円滑に進めるよう協力していきます。また、諧孝は渋川景佑とともに『寛政暦書』の編纂や天保暦の改暦にも関わりました。

安政元年（1854年）、諧孝は品川において望遠鏡の実験をし、その結果を幕府に報告しました。彼の晩年には電信機の研究や航海暦の編纂も行いましたが、実際の業務は息子の彰常が主に担当していたと言われています。

最後の時

安政5年（1859年）には隠居し、家督を息子に譲りました。彼の貢献は、幕府の科学技術の進展において重要な役割を果たしただけでなく、史上の天文学者としての評価を確立することに寄与しました。山路諧孝の墓所は、谷中の大泉寺にあります。

参考文献

• - 吉田忠「山路諧孝」（『国史大辞典 14』、吉川弘文館、1993年）
• - 大矢真一「山路諧孝」（日蘭学会 編『洋学史事典』、雄松堂出版、1984年）
• - 中山茂 編『天文学人名辞典』（現代天文学講座別巻、恒星社厚生閣、1983年）
• - 武内博 編著『日本洋学人名事典』（柏書房、1994年）

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