山陰海岸ジオパーク

山陰海岸ジオパーク：日本海が生んだ多様な地形と文化

山陰海岸ジオパークは、鳥取県、兵庫県、京都府にまたがる広大なエリアに位置し、山陰海岸国立公園を中心とした地域です。このジオパークは、日本海の形成過程で生まれた多様な地形や地質を保護・保全し、それらを活用したジオツーリズムや教育活動を通じて地域社会に貢献することを目的としています。2008年に日本ジオパークネットワーク、2010年には世界ジオパークネットワークに加盟が認定されました。

概要

「日本海形成に伴う多様な地形・地質・人々の風土と暮らし」をテーマに、東西100km以上、南北約30kmに及ぶ広大な範囲をカバーしています。東は京都府京丹後市の経ヶ岬から、兵庫県の但馬海岸を経て、西は鳥取県の浦富海岸まで、変化に富んだ海岸線が続いています。内陸部には、神鍋高原や小代、湯村温泉、雨滝などの見どころも含まれており、多様な地形と地質が確認できます。約4000万年前から日本海が形成される過程で生まれた貴重な地質遺産が多数存在し、それぞれの土地の気候や地形を活かした生活文化が各地に根付いています。

地形・地質

海面変動や地殻変動によって形成されたリアス海岸や砂丘地など、多様な地形が広がっています。これらの地形は、日本海の形成過程で生じた地殻変動や海面の変化を物語っており、学術的にも貴重なものです。

沿革・活動実績

山陰海岸ジオパークは、1955年に山陰海岸国定公園として指定され、その後1963年に国立公園となりました。2007年には、行政や民間団体が連携して山陰海岸ジオパーク推進協議会が設立されました。以降、ジオパークとしての活動が活発化し、2008年には日本ジオパークネットワーク、2010年には世界ジオパークネットワークへの加盟が認められました。

ジオパーク認定後も、地域資源の保護・保全、教育・研究、ジオツーリズムの推進など、さまざまな活動が継続的に行われています。2015年にはアジア太平洋ジオパークネットワークのシンポジウムが開催され、2019年には世界ジオパークの再認定を受けています。また、山陰海岸ジオパークトレイルの整備など、地域資源を活かした取り組みも積極的に行われています。

ジオサイト

ジオパーク内には、数多くの見どころ（ジオサイト）があります。

京丹後市: 経ヶ岬、丹後松島、立岩、間人海岸、丹後高原、磯砂山、郷村断層、琴引浜、久美浜湾など

豊岡市: 竹野海岸、竹野川、神鍋火山、阿瀬渓谷、日和山海岸、気比、城崎温泉、玄武洞公園、豊岡盆地、出石、但東など

香美町: 佐津、柴山、今子浦、香住海岸、余部、射添、村岡、兎和野・瀞川、ハチ北、久須部渓谷、美方高原など

新温泉町: 久斗川渓谷、但馬御火浦、浜坂、浜坂西海岸、湯村温泉、照来、上山・小又川、霧ヶ滝など

岩美町: 浦富海岸、駟馳山、岩井温泉など

鳥取市: 雨滝、上地、因幡国府、鳥取砂丘、湖山池、吉岡温泉、白兎海岸、久松山、鳥取平野、安蔵・岩坪、鹿野、浜村温泉、青谷海岸など

これらのジオサイトは、それぞれに独特の地形や地質を持ち、山陰海岸ジオパークの多様性を物語っています。

山陰海岸ジオパークトレイル

総延長230km、高低差332mのロングトレイルコースです。奇岩、洞門、断崖絶壁などの景観を楽しみながら歩くことができます。自然歩道を中心としたルートで構成され、豊かな自然、漁村の風景、歴史文化など、日本海沿岸の原風景を堪能できます。27のコースがあり、ハイカーからファミリーまで楽しめます。西は青谷（鳥取県鳥取市）から東は経ヶ岬（京都府京丹後市）まで、多様な地形を楽しむことができる珍しいコースです。

定期観光船

但馬遊覧船（但馬御火浦周遊）、遊覧船かすみ丸（香住海岸周遊）、浦富遊覧船（浦富海岸周遊）などがあります。

拠点施設

香美町立ジオパークと海の文化館、山陰海岸ジオパーク館、鳥取県立博物館付属 山陰海岸ジオパーク 海と大地の自然館など、地域には情報発信や学習の拠点となる施設が整備されています。

山陰海岸ジオパークは、自然の恵みと歴史が織りなす魅力的な場所です。訪れる人々は、この地の自然や文化に触れ、地球の歴史と人々の営みを深く理解することができるでしょう。

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