山陽電気鉄道2000系電車

山陽電気鉄道2000系電車は、かつて山陽電気鉄道（山陽）が保有していた電車です。特急輸送を担う2扉車と、ラッシュ時の混雑緩和を考慮した3扉車が製造されました。ここでは、狭義の2000系について解説します。同型の車体を持つ更新車の2700系電車や、機器更新車の2300系電車については、それぞれの項目を参照ください。

概要

1956年（昭和31年）から1963年（昭和38年）にかけて、川崎車輌（現在の川崎車両）で合計24両が製造されました。山陽電鉄初のWN駆動方式を採用した19m級の高性能電車であり、一部は820形・850形の後継として、2扉転換クロスシート仕様で製造されています。車体構造や台車などには新技術が積極的に導入されました。

利用客の増加に伴う混雑緩和への対応も図られたため、製造時期によって仕様や外観が大きく異なるのが特徴です。

車種構成

2000系は、以下の形式で構成されています。

モハ2000形：電鉄兵庫（三宮）寄り制御電動車 (Mc) 2000・2002・2004・2006・2008・2010・2012・2014
モハ2000形：姫路寄り制御電動車 (Mc) 2001・2003・2005・2007・2009・2011・2013・2015
* サハ2500形：付随車 (T) 2500・2502 - 2508

各次車の詳細

1次車

1956年（昭和31年）に製造された最初のグループで、2000形2000・2001の2両を背中合わせに連結した2両編成1本が製造されました。当初は100形更新車の250形258・259として製造される予定でしたが、計画が変更され、初の高性能完全新車となりました。

窓配置はd2D (1) 5 (1) D2（dは乗務員扉、Dは客用扉、(1) は戸袋窓）です。前面は半流線形非貫通3枚窓で、前照灯は上部中央に1灯が半埋め込みで取り付けられています。尾灯は従来通り上部に左右1灯ずつ設けられていますが、外付け式ではなく埋め込み式となりました。座席はロングシートですが、特急運用を考慮して低座面仕様となっており、グローブ付きの室内灯、幅1mの大型窓、パイプ式荷棚、広幅貫通路など、優美な内装が特徴です。この車体は、当時存在した「私鉄標準車体仕様書」のL-2L仕様に準拠した設計であり、その構想は現在の東急5000系電車などの規格設計車両のルーツとも言えます。

駆動システムはWNドライブで、主電動機は珍しい川崎車輛製K3-1504-Aを1両あたり4基搭載していました。この主電動機は、当時の標準軌間向け高性能電車用としては比較的強力な部類に入り、山陽の線路条件を考慮するとMc-Mcの2両編成で使用するには明らかに過剰性能でしたが、将来の併用軌道区間における3両編成運用を想定したものでした。

就役開始時は、2001にパンタグラフが搭載されておらず、2000から母線引き通しで給電されていましたが、後の中間車挿入による3両編成化時に追加搭載が実施されています。

台車は川崎車輛独自の軸梁式台車であるOK-15が採用されました。ブレーキはAMA-R自動空気ブレーキを基本としています。

1990年（平成2年）に5000系に置き換えられて廃車となりました。

2次車・3次車

1957年（昭和32年）に2次車として2000形6両（2002 - 2007）が、1959年（昭和34年）に3次車として2000形2両（2008・2009）と2500形3両（2502 - 2504）がそれぞれ製造されました。2000系唯一の量産グループです。

側面窓配置、内装を大幅に変更し、850形に準じたシートピッチ910mmの転換クロスシートとそれに合わせた800mm幅の狭窓となりました。

1969年（昭和44年）より電動車の電装解除と運転台撤去と扉増設、ロングシート化などを実施した上で3000系3550形に編入されました。この際発生したMB-3037系モーターは3200形に流用されました。

4次車（第1次ステンレスカー）

1960年（昭和35年）製造の試作車である2500形2500と、それに続いて製作された2000形2010・2011の3両1編成からなります。構体は台枠や骨組が普通鋼製で外板をステンレスとした、いわゆるスキンステンレス車両です。無塗装ですが、アクセント兼警戒色として赤帯が2本巻かれました。

5次車（アルミカー）

1962年（昭和37年）に製造された3両編成2本のうち、2000形2012・2013、2500形2505による編成が該当します。ラッシュ対策として3扉ロングシート車となり、車体は川崎車輛がドイツのWMD社と提携して、そのライセンスの下で製作したアルミニウム合金の押し出し材が全面採用され、オールアルミ製車両となりました。

5次車（第2次ステンレスカー）

1962年に製造された3両編成2本のうち、2000形2014・2015、2500形2506による編成が該当します。ステンレス車とアルミ車の有効性を比較検討するために、アルミ製5次車と同形態のスキンステンレス製車体として製造された車両です。

6次車

1963年（昭和38年）に2000系全編成の3両編成化にあたって不足する中間車を補うべく2507・2508の2両が製造されました。2000系をすべて3両編成とするために製造された中間車であり、車体は同時期製作の2700系3扉車の中間車版と言えるデザインとなっています。

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