岑彭

岑彭（しん ほう）について

岑彭（しん ほう、? - 35年）は、後漢の優れた武将であり、字は君然といいます。彼は南陽郡棘陽県（現在の河南省新野県）出身で、光武帝によって高く評価され、「雲台二十八将」の一人としても知られています。彼の軍事的な手腕と指導力は、後漢の建立に重要な役割を果たしました。

略歴

岑彭は王莽の政権下で棘陽県の長を務めていましたが、漢軍が棘陽県に攻撃を仕掛けると、彼は家族を連れて宛の前隊大夫である甄阜のもとに逃げました。しかし、甄阜は彼が棘陽を守らなかったことを怒り、岑彭の家族を捕らえることで彼に戦うよう迫りました。甄阜戦死後、岑彭は宛に戻り、城を守備しましたが、長続きせず、食料が尽きてしまい降伏することになります。

彼はその後、劉縯という大司徒により再び任務を与えられ、漢の武将としての道を歩むことになりました。劉縯が更始帝に殺された後、岑彭は大司馬朱鮪の下で働き、さらに多くの功績を上げました。彼は律令に従い、しばしば戦に赴き、功績を重ねていきました。

建武元年（25年）、劉秀が皇帝に即位すると、岑彭は廷尉に任命され、再び帰徳侯の称号が与えられました。彼は朱鮪を説得し、洛陽の戦を解除させるなど、巧妙な策略を用いて戦局を進展させました。その後、荊州の賊軍を討伐するために派遣され、数々の城を落としました。

戦功と戦術

岑彭は建武2年（26年）に荊州平定を命じられ、数多くの城を陥落させ、征南大将軍に任じられました。官軍と民のために活動し、周辺の反乱を黙らせました。特に秦豊との戦においては、巧妙な策略を用いて、彼の軍を煙幕にかけるような戦術で敗北させました。

その後も、岑彭は秦豊を包囲し、この任務を遂行する中で圧倒的な戦力を示し、その結果新たに舞陰侯に封ぜられるに至ります。建武4年（28年）には、秦豊の宰相が降伏し、岑彭はその功績が評価されました。

岑彭はまた、公孫述との戦闘でもその兵才を発揮し、巧妙な電撃戦を実行しました。彼は敵の不意を突く形で河を渡り、驚異的な速さで公孫述の要塞に迫りました。これにより公孫述の軍が事態を把握する前に勝利を手にすることができました。

最期と影響

岑彭は建武11年（35年）に反乱の鎮圧に使用されましたが、戦闘の最中に公孫述の刺客によって倒れました。彼の死は、光武帝の戦略にとって大きな損失となり、その後の漢軍の展開にも影響を与えました。彼は軍の規律を重視し、部下たちからも高く評価されていました。

岑彭の死後、光武帝は彼の功績を忘れず、彼の家族に恩恵をもたらしました。岑彭は多くの戦功をもたらし、その統率力と戦略で後漢期の武将のひとりとして名を残しました。彼の統率した軍は民に対しても強い信頼を保ち、数多くの人々が岑彭に従ったという逸話は彼の人柄を物語っています。

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