岩口昭三

岩口昭三：北陸を代表する名競艇選手

岩口昭三は、1942年3月22日に福井県で生まれ、2020年8月31日に78歳で亡くなった元競艇選手です。兄弟である岩口留男も同じく競艇選手であり、その愛称は「あんちゃん」として親しまれていました。

生い立ちと競艇界への道

商船学校への進学を希望していた岩口でしたが、中学卒業直後に父親が急逝。8人兄弟の3番目という立場から、進学を諦め地元の繊維工場に就職しました。しかし、工場の寮に遊びに来た友人から競艇選手の話を聞き、その世界に飛び込むことを決意します。

1962年1[[2月26日]]、三国競艇場でデビューを飾りますが、デビュー期の勝率は2.47と同期の中でも最低レベルでした。この結果に危機感を抱いた岩口は、翌年4月の三国周年で、レースはもちろん練習まで6日間全てを観察し続けました。そこで、1962年の全日本選手権覇者である長谷部義一が多用していた「差し」に着目し、1マークでのまくり差しや差しを徹底的に練習しました。その結果、同年5日に三国で初勝利を挙げ、以降は早差しを武器に頭角を現し、デビュー2年でA級に昇格しました。デビューから2年8ヶ月後の1965年8月29日には、びわこ競艇場で初優出初優勝を果たしました。

記念レースでの活躍

1969年には、大村競艇場での17周年記念レースで記念初優勝を達成。同年7月の丸亀競艇場でのモーターボート記念競走では、SG級レースで初の優出を果たし、2着に入りました。1975年2月には、地元三国競艇場での近畿地区選手権競走で優勝。近畿地区選では、三国での3回優勝を誇りますが、中でも初制覇は最も印象深いレースだと語っています。北陸を代表するエースとして、そのスピードあふれるまくり差しは観客を魅了しました。当時、平均スタートタイミングが0.25秒程度だった時代に、岩口は0.17秒前後のスタートを常に決めていました。

SG制覇と晩年

1990年3月、平和島競艇場で行われた総理大臣杯競走では、48歳にしてSG初優勝を成し遂げ、当時の最高齢記録を更新しました。このレースでは、5コースから得意のまくり差しを決め、実況アナウンサーが「花のお江戸の水面で舞うか勝利の桜しぶき」と表現するほどの見事な勝利でした。60歳を超えてもなおA1級を維持し、2003年には尼崎競艇場での競艇名人戦競走で、兄弟揃って初のGI戦出場を果たしました。

2003年11月28日には、住之江競艇場での一般戦で最後の優勝を飾り、2500勝目前で迎えた2004年8月16日の三国一般戦が最後の優出（6着）となりました。同月22日の戸田一般戦最終日9Rが最後の勝利となり、同年9月には鳴門競艇場で事故による怪我のため長期休養に入ります。その後、「中途半端に選手生活を終わらせたくなかった」との思いから、2007年8月に三国競艇場で復帰し、同節を最後に引退しました。

引退後

引退後の2008年からは、三国競艇大賞に「岩口昭三杯」の副称が付けられ、同年にはボートレース殿堂マイスター入りを果たしました。

通算成績

岩口昭三の通算成績は以下の通りです。

出走回数：9782回
1着回数：2491回
優勝回数：91回（SG1回、GI7回）
優出回数：269回（SG7回、GI42回）
フライング回数：63回
生涯獲得賞金：10億5776万0036円

主な獲得タイトル

1969年：大村開設17周年記念競走
1975年：近畿地区選手権競走（三国）
1976年：津開設24周年記念競走
1984年：三国開設31周年記念競走
1985年：浜名湖開設32周年記念競走
1986年：近畿地区選手権競走（三国）
1989年：近畿地区選手権競走（三国）
1990年：第25回総理大臣杯競走（平和島）


その卓越した技術と不屈の精神で、競艇界に多大な影響を与えた岩口昭三。その功績は、これからも多くのファンに語り継がれるでしょう。

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