笑の王国

笑の王国の歴史と概要

「笑の王国」（わらいのおうこく）は、1933年4月に設立され、1943年6月に解散した日本の軽演劇劇団である。この劇団は、戦後に花登筺が大阪に設立した「劇団・笑いの王国」とは直接の関係を持たない。

設立の背景

1933年、古川緑波（古川ロッパ）の発案により設立された笑の王国は、浅草公園六区の「常盤座」（現在のROX3）で旗揚げ公演を行った。この劇団の設立には、サイレント映画の終わりとトーキー映画の登場による影響があった。多くの人気活動弁士が職を失う中、新たな表現の場を求めなければならなかった。

また、浅草公園の四区や水族館で行われていた「カジノ・フォーリー」など、他の軽演劇との競争の中で、新しい演劇のスタイルを確立しようという意図もあった。

メンバーの紹介

設立当初から参加したのは、緑波をはじめとして生駒雷遊、徳川夢声、大辻司郎、山野一郎などの多彩なメンバーであった。彼らはそれぞれ活動弁士や漫談家、歌手、新劇出身の俳優などで、軽演劇の発展に寄与した。

1933年の活動は非常に活発で、6月には「プペ・ダンサント」が解散し、そこから新たなメンバーが加入して作品づくりに参加した。

演劇スタイルと展開

笑の王国の演劇は、特に歌舞伎を軽妙にアレンジしたスタイル、「アチャラカ」を取り入れて観客を圧倒した。このスタイルは、従来の演劇表現と一線を画している。また、1935年には古川緑波が脱退し、その後東宝専属となったが、劇団はその後も様々なメンバーの入れ替わりの中で活動を続けた。

戦時下での変化

1941年頃から、日本が戦時体制に入り、「兵隊もの」のテーマにシフトせざるを得なくなった。これにより、従来の「アチャラカ」スタイルが難しくなり、劇団の理念に反した内容に変更されることが求められた。この時期の状況は、後の三谷幸喜の戯曲『笑の大学』のモデルとなったエピソードとして知られている。

解散

1943年1月には「国民喜劇座」と改称し、新しい試みを始めたが、同年の6月に解散の運びとなってしまった。彼らの活動は日本の軽演劇に新たな風を吹き込んだが、戦争の影響を避けられなかった。解散後、多くのメンバーはそれぞれの道を歩み始めた。

おわりに

「笑の王国」は、昨今の劇団や演劇界においても貴重な存在として記憶され、その革新的な演劇スタイルは今なお多くの人々に影響を与え続けている。彼らの努力がもたらした軽演劇の進化は、今日の日本のエンターテイメントシーンにおいても重要な位置を占めている。

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