島之内寄席

島之内寄席について

島之内寄席（しまのうちよせ）は、1972年から2020年まで続いた上方落語の定席寄席として知られる。上方落語協会の主催により、長い歴史を有し、数多くの落語家たちがここで成長してきた。寄席の設立は6代目笑福亭松鶴の発案によるもので、初めての開催は1972年2月21日、南区千年町にある日本基督教団島之内教会内で行われた。

この教会では、すでに小劇場の上演が行われており、牧師の西原明の協力を得て寄席が実現した。島之内寄席で初めて演じたのは桂べかこ（後の3代目桂南光）や桂文珍など、魅力的な演者たちであった。特に、桂文珍は非常に人気のある演者であり、初回の演目「米揚げ笊」は観客に強い印象を与えた。この寄席で、多くの若手落語家たちが育ち、笑福亭鶴瓶は「兄弟子や同じ若手が皆、島之内寄席に行くのを楽しみにしていた」と回想している。

寄席は1974年まで教会で運営され、その後はさまざまな場所へ移動を繰り返す。1974年には心斎橋ブラザーミシンビルに移った後、同年12月には船場センタービル地下のボウリング場での公演が行われた。さらに1975年にはダイエー京橋店内での特別公演を打ち出したが、月3日の興行に縮小された。1984年には南区畳屋町の料亭「暫」に移ったものの、1987年にはビル改装のために閉鎖され、心斎橋のCBカレッジに移動。ここでも月1回の興行に減少した。

1993年以降は天王寺の一心寺シアターに拠点を置き、1996年のワッハ上方の開館に伴いレッスンルームに落ち着いた。2005年にはワッハホールに移転し、2011年には千日前TORII HALLに移転して、再び月1回の興行を行った。その後、2016年から大阪市立中央会館での開催を経て、2018年からは上本町六丁目の錢屋ホールにて定期公演を行った。しかし、2020年には新型コロナウイルスの影響で3月から12月まで休演を余儀なくされ、その後も復活の兆しが見えていない。

一方、その起源である島之内教会では、桂吉弥が2015年から毎年12月に「桂吉弥のお仕事です。Special」と題した落語会を開催しており、地域の文化活動を継承する場としての役割を果たしている。多様な演者たちの活動が続く中、島之内寄席は上方落語の最前線であった。

当初の演者たちには、次のような人々が含まれる。桂べかこが「東の旅」を、桂文珍が「米揚げ笊」を演じ、笑福亭呂鶴が「牛ほめ」を披露したほか、桂きん枝、桂朝太郎、そして桂三枝といった名だたる落語家たちが参加し、それぞれの個性豊かな演目で観客を楽しませた。これらの演者たちは、島之内寄席を通じて多くのファンを獲得し、上方落語に新しい風を吹き込んだのである。

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