島津久治 (垂水家)

島津久治は、江戸時代前期の薩摩藩士で、垂水島津家の7代目当主として知られています。大隅郡垂水領を治めた領主であり、その生涯は藩政と領地経営に深く関わっていました。

生い立ちと家督相続

正保2年（1645年）11月2日、島津久治は垂水領主であった島津忠紀の息子として誕生しました。幼名は万千代丸と名付けられました。しかし、父忠紀が正保4年（1647年）8月に急逝した際、久治はわずか3歳の幼児でした。このような状況下にもかかわらず、藩主である島津光久の甥という血縁関係から、特例として家督を継ぐことが許されました。この幼少期での家督相続は、久治の人生に大きな影響を与えたと考えられます。

分家設立と藩政への関与

承応2年（1653年）、島津久治は藩主光久の命を受け、垂水島津家4代当主である久信の次男・久章の遺児、忠清を養弟として迎え、分家を立てさせました。これは、藩内の勢力均衡や後継者問題に対する藩主の意向が反映されたものと考えられます。

領地経営と治績

元禄年間に入ると、島津久治は領内の新田開発に力を注ぎました。特に、嫁女川（よめじょがわ）疎水の大規模な工事を開始し、農業生産の向上を図りました。この疎水工事は、領民の生活を支える重要な事業であり、久治の領主としての手腕を示すものです。また、先祖である島津忠将が戦死した福山の馬立坂中に建てられた供養塔の修繕も行いました。これは、先祖を敬い、領内の歴史を大切にする久治の姿勢を表すものです。

死去

元禄5年（1692年）7月27日、島津久治は48歳でこの世を去りました。その短い生涯の中で、垂水島津家の当主として、領地経営と藩政に貢献した久治の功績は、後世に語り継がれています。

参考文献

* 『垂水市史』第1巻 垂水市史編集委員会、1973年

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