島津亀寿

島津亀寿（しまづ かめじゅ）について

島津亀寿は、元亀2年（1571年）に生まれ、寛永7年（1630年）に没した、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての女性です。島津義久の三女として生まれ、母は種子島時尭の娘である円信院殿です。彼女は、島津氏の重要な人物たちと結婚し、激動の時代を生きました。

生涯

亀寿は、その生涯で「御上様」「国分様」などと呼ばれ、島津氏の重要な女性として扱われました。豊臣秀吉による島津氏降伏後、彼女は京都で人質としての役割を担い、島津氏の恭順を示す存在となりました。これは、政略的な意味合いが強く、彼女の人生に大きな影響を与えました。

1589年（天正17年）には、従兄弟である島津久保と結婚しましたが、久保の死後、彼の弟である島津忠恒（家久）と再婚しました。この結婚は、島津家内の権力構造にも影響を与えたと考えられます。

1599年（慶長4年）、島津義弘から薩摩国日置郡内で5千石を与えられ、翌年には島津義久から大隅国大禰寝村に2739石を与えられました。さらに、1624年（寛永元年）には、1万石を一代限りの無役として与えられるなど、彼女は経済的にも恵まれていました。彼女は、これらの領地を統治し、安定した生活を送ったと考えられています。

1630年（寛永7年）10月5日に、国分城でその生涯を閉じました。法名は「持明彭窓庵主興国寺殿」です。

「じめさあ」伝説

鹿児島市城山町の鹿児島市立美術館の一角には、「じめさあ」と呼ばれる石像があります。この石像は、1929年（昭和4年）に鹿児島市役所敷地から発見され、亀寿の像とみなされるようになりました。「持明院様」が鹿児島弁で転訛した「じめさあ」という名前で親しまれています。

「じめさあ」は、毎年亀寿の命日である10月5日に化粧直しが行われます。現在では、鹿児島市役所の女性職員が化粧を担当し、ポスターカラーや実際の化粧品を使用して、その時々の流行や話題を反映した化粧が施されます。この化粧の様子は、テレビや新聞で報道され、地元の関心を集めています。この慣習は、1929年以来続けられており、亀寿をしのぶ行事として認知されています。

しかし、「じめさあ」が本当に亀寿の姿を写した像であるかについては、否定的な見解もあります。作家の桐野作人は、江戸時代に島津家の祈願所であった大乗院に「白地蔵」と呼ばれる石像があり、白粉を塗る慣習があったと指摘しています。桐野によれば、講釈師の伊東凌舎が描いた「白地蔵」の姿が「じめさあ」に酷似しており、明治期に「白地蔵」が現在の場所に移されたものが「じめさあ」であるとしています。桐野は、大乗院が亀寿とも縁のある寺であったことから、「白地蔵」が亀寿と結び付けられた可能性があると示唆しています。

関連作品

島津亀寿は、ゲーム『戦国大戦』（セガ）にも登場しています。この作品では、田村ゆかりさん（15XX）と内田真礼さん（1600）が彼女の声を担当しています。

まとめ

島津亀寿は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、激動の時代を生きた女性です。彼女は、政略結婚や人質としての役割を担いながらも、その人柄で人々から慕われました。「じめさあ」の伝説は、彼女の死後も長く語り継がれ、地元の人々から愛される存在であることを物語っています。

参考文献

* 田端泰子『女人政治の中世』講談社、1996年。

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