島津立久

島津立久：室町時代の守護大名

島津立久（しまづ たつひさ）は、室町時代に薩摩・大隅・日向の守護を務めた島津氏第10代当主です。幼名を安房丸、通称を又三郎といい、官位は修理亮、陸奥守に任じられました。父である9代当主・島津忠国の次男として生まれ、兄がいたものの、家督を継ぎました。

家督相続と初期の治世

父・忠国は文明2年（1470年）に亡くなったとされていますが、実際にはそれ以前から家臣団との対立が深刻化していました。長禄2年（1458年）頃から家臣団は忠国を排除する計画を進め、長禄3年（1459年）10月以前には、立久が重臣たちの力を借りて父を追放し、事実上の守護となりました。この家督相続劇は、立久の治世における最初の大きな出来事でした。

領国経営と外交

立久は、日向の伊東祐堯と和睦し婚姻を結ぶことで、日向国への影響力は低下したものの、薩摩・大隅の経営に専念することができました。これにより、領内は比較的平穏な日々が続いたとされています。また、兄弟を領内の要地に配置し、一族や重臣の配置換えを行うことで、彼らを牽制しつつ守護領の拡大を図り、自身の地位を安定させました。さらに、琉球や李氏朝鮮との交易を積極的に行うことで、経済的な繁栄も目指しました。

応仁の乱と桜島噴火

応仁元年（1467年）に勃発した応仁の乱では、立久は東軍の細川勝元に味方しましたが、実際には出兵を拒否し、名目的な東軍参加にとどまりました。これは、他の大名と同様に、どちらが負けても家が存続するようにするための戦略でした。一方、叔父である島津季久は西軍に味方し、島津家内部でも東西に分かれて争う形となりました。

文明3年（1471年）には、桜島が大規模な噴火を起こし、立久の死後も文明8年（1476年）頃まで噴火が続きました。降灰による農地への被害は甚大で、日向・大隅方面の所領を持つ家臣や領民は困窮し、その後の領国経営に暗い影を落としました。

死去とその後

文明6年（1474年）、立久は43歳で亡くなりました。嫡男の忠昌が後を継ぎましたが、立久の生前には、薩州家の島津国久を養嗣子に迎え、実子の忠昌を僧にする予定があったという記録も残されています。この計画が変更されたことで、後の家中の内紛の一因になったと考えられています。立久の墓所は、東市来の法城山龍雲寺跡と福昌寺跡にあります。

まとめ

島津立久は、父を追放して家督を奪取するという異例の形で当主となり、その後の領国経営に尽力しました。外交や交易を積極的に行い、領内の安定化を図る一方で、桜島の噴火という自然災害にも直面しました。また、後継者問題が家中の内紛につながるなど、その治世は波乱に満ちたものでした。立久の時代は、島津氏が戦国時代に向けて変革を遂げていく上で重要な時期であったと言えるでしょう。

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